犬のごはん

犬の総合栄養食とは?主食にする条件と、サプリ・トッピング・多頭飼いの注意

犬の総合栄養食とは?主食にする条件と、サプリ・トッピング・多頭飼いの注意

「ドッグフードの『総合栄養食』って、これだけあげていれば大丈夫?」
「サプリやトッピングは足したほうがいい?」
「子犬と成犬を一緒に飼っているけど、フードは同じでいい?」

結論から言います。犬の毎日のごはん(主食)は、成長段階に合った「総合栄養食」と新鮮な水が基本です。総合栄養食は、そのフードと水だけで、指定された成長段階の健康を維持できるよう栄養のバランスが整えられたもの、と定義されています[3]。そして、環境省も、総合栄養食を与えている場合は、栄養の不足はおこりにくいとしています[2]。

この記事では、袋の読み方(原材料・成分表)はドッグフードの原材料・成分の見方に任せて、「総合栄養食を主食にしたあと、何を足していいか・いけないか」に絞って整理します。サプリ、トッピング、おやつ、多頭飼いのときの注意まで、環境省とペットフード公正取引協議会の資料をもとにまとめました。

先に確認:自己判断で足し算・切り替えをする前に、動物病院へ相談した方がよいケース

  • 持病や病気の治療中で、療法食をすすめられている(食べないときの相談も含む)
  • 食欲がない・元気がない、嘔吐や下痢が続くなど体調の変化がある
  • サプリメントを新しく足したい(とくに成長期の大型犬)

環境省は、療法食の使用は獣医師の管理の下で行われるものとしています[1]。療法食のみ病名の記載ができ、獣医師の指導に基づいて与える旨の注意書きが必要と、公正競争規約でも定められています[3]。

この記事の読み方(順番に説明します)

  1. 総合栄養食とは何か(定義と、成長段階の注意)
  2. 主食と「足し算」の整理(一般食・おやつ・サプリ)
  3. サプリは必要?(カルシウムの注意)
  4. 飽きる・食べないときのトッピング・ローテーション
  5. 多頭飼いのときの管理
  6. よくある質問

犬の総合栄養食とは?水と一緒に与えるだけで健康を保てる主食

定義と、成長段階が合っていることが条件

協議会(ペットフード公正取引協議会。フードの表示ルールを定める業界団体)は、総合栄養食を「毎日の主要な食事として給与することを目的とし、そのペットフード及び水のみで、指定された成長段階における健康を維持できるような栄養的にバランスのとれたもの」と説明しています。基準はAAFCO(米国の飼料検査官協会が定める栄養基準)をもとにしています[4]。表示するには、分析試験または給与試験で基準を満たすことを証明し、協議会に届け出る必要があります[3]。

ここで大事なのは「指定された成長段階」です。環境省は、成長期用のフードは成犬用より、同じ食事量でも多くのエネルギーや成長に必要な栄養(たんぱく質、カルシウムなど)がとれるように作られているため、成犬用のフードを子犬に与えると栄養不足になり、反対だとエネルギー過剰で肥満になると説明しています[2]。

時期目安(環境省)
成長期生後50日から、小型犬は10か月ぐらい、中型犬は1年ぐらい、大型犬は1年半ぐらい[1]
成犬期成長期を終えてから7年間(大型犬では5年)程度[1]
高齢犬期約8〜10歳(大型犬は6〜7歳)以降を「中高齢期」としています[1][2]

袋には、成長段階が「幼犬期・成長期・グロース」「維持期・メンテナンス」「高齢犬期・シニア」「全成長段階・オールステージ」などと書かれます[1]。子犬の選び方は子犬のドッグフードの選び方、シニアはシニア犬のドッグフードを参考にしてください。

切り替えは「少しずつ混ぜて」

成長段階の切り替えや、フードを変えるときは、食べ慣れたフードに新しいフードを少しずつ混ぜるのが基本です。環境省は、急に切り替えると吐いたり下痢をすることがあるため、犬の状態を見ながら1〜2週間かけて新しいフードの割合を徐々に増やすよう呼びかけています[1]。手順の詳細はドッグフードの切り替え方をご覧ください。

主食と「足し算」の整理|総合栄養食以外は、主食にならない

目的の表示位置づけ主食に?
総合栄養食必要な栄養素をすべて含み、新鮮な水と与えるだけで健康維持できるよう調整[1]なる
間食(おやつ)ごほうび用。限られた量を与える[1]。総合栄養食の栄養基準を満たしたおやつもある[3]ならない(基準を満たすおやつも、表示の給与量に従う)
一般食(副食・おかず)嗜好増進などが目的。総合栄養食と一緒に与える旨を表示[1]ならない
栄養補完食・サプリメント等特定の栄養成分の調節やカロリー補給が目的[1]ならない
療法食特定の疾病などへの食事療法。獣医師の指導のもとで[1][3]指示に従う

おやつの量は、環境省が1日に必要なカロリーの20%以内、ロイヤルカナンの公式Q&Aが10%以内(おやつ分は主食を減らす)としています[1][5]。資料で数字が違うので、少なめを目安に、与えた分だけ主食を減らすのが無難です(これは筆者の判断です)。

メーカー公式の説明の例(いなばペットフードのよくあるご質問より)

  • 同社は、「総合栄養食」を、指定された成長段階で、ペットフードと水を与えるだけで必要な栄養バランスを満たし、健康を保つことを目的としたフードと説明しています。「おやつ」は、栄養補給のみが目的ではなく、おやつやご褒美、コミュニケーションの手段として与えるもの。「総合栄養食タイプ」は、間食(おやつ)のうち、総合栄養食の栄養規準を満たしたものです[6]。
  • ちゅ~るには、おやつのタイプと、総合栄養食の基準を満たしたタイプがあります。おやつのちゅ~るは、総合栄養食を十分に与えたうえで、パッケージの給与方法にある本数を目安に使うよう案内され、上限は1日に必要な総エネルギー量の約20%以内です。おやつだけしか食べない場合は、必要な栄養バランスを満たした製品ではないため、続けるのはお控えください、としています[6]。
  • 総合栄養食のちゅ~るは、パッケージの本数が「主食として本製品のみを与えた場合の目安量」です。必要な本数を与えるのが難しいときは、ドライフードと併用するか、おやつとして使うよう案内しています[6]。
  • 「腎臓の健康維持に配慮」「下部尿路配慮」と書かれた製品は、病気に対応した療法食ではないので、疾患のある子には、獣医師に相談のうえ、療法食を使うよう案内しています[6]。
  • 子犬・子猫に、成犬・成猫用の総合栄養食を与えることは、成犬・成猫に必要な栄養バランスで作られているため、継続的に与えると栄養バランスが崩れる可能性があるので、お控えください、としています[6]。
  • 犬用フードを猫に、猫用フードを犬に与えても、有害な成分は含んでいないので問題はないが、継続的な使用は、栄養バランスが崩れたり、嗜好性に影響が出るおそれがあるのでおすすめできないと書いています[6]。

これは、いなばペットフード(フードメーカー)の公式サイトの記述です。公的機関の資料ではありません。商品ごとの区分・本数は、お手元の商品のパッケージの表示で確認してください。

サプリメントは必要?|総合栄養食なら不足はおこりにくい。カルシウムは要注意

環境省のQ&Aは、サプリメントは栄養補助食で、ビタミンやミネラルなどの特定の栄養成分を補うものであり、本来、総合栄養食を与えている場合は栄養分の不足はおこりにくいとしています。一方、手作りの食事は栄養素の不足が起こりやすいため、栄養成分を計算したうえで与えるよう呼びかけています。ダイエット用のサプリなどは十分に安全性が確認されたものを使い、複数の健康補助食品を使うときは悪影響が出ることがあるので獣医師に相談するよう案内しています。また、人用のサプリメントには犬や猫に毒性を示すものもあるため、犬や猫で安全性が確認されているものを与えるよう注意しています[2]。

注意:成長期の大型犬に、カルシウムを足さない(環境省の改訂前の版の記述。現行の2018年版にはありません)

  • カルシウムは不足しても過剰でも骨の代謝に影響する[7]
  • フードに適量が入っているのにサプリを足すと過剰になり、一部の犬種では股異形成や骨軟骨症などの発育期の整形外科疾患につながる[7]
  • 必要量のカルシウムは、大型犬用の総合栄養食を与えていれば足りるようになっている[7]
  • カルシウムが多めの小型犬用フードを大型犬に与えないよう注意[7]

「うちの子は特別に足りなそう」と感じたときも、まず袋の成長段階・体格の表示が合っているかを確認し、サプリを足す前に獣医師に相談しましょう。

飽きる・食べないときの工夫|トッピングとローテーション

飽きる原因から考える

環境省の改訂前の版のQ&A(現行の2018年版にはありません)は、「フードに飽きる」ときは、まず原因を考えるよう呼びかけています[7]。

  • 塩分や脂肪が多い味の強いものを覚えると、さらに味の強いものを求めるようになる可能性がある。長期間続くと、栄養上・健康上の問題になりうる
  • 背景に、家族の誰かが人の食事や味の強いおやつを与えているケースがある
  • 食べないときに、おやつなどで栄養をとらせようとせず、次の食餌時間まで放っておくのも一つの方法

環境省(改訂前の版)が挙げる工夫

飽きやすい犬には、日頃から数種類のフードをローテーションさせる方法があります。同じ栄養組成の製品の中で味が違うものに変える、ドライとウェットを試す、同じフードに犬用のトッピングやふりかけを混ぜる、といった方法が挙げられています[7]。

一方、ロイヤルカナンの公式Q&Aは、犬は栄養バランスが整った好みの食事なら多様なレパートリーは必要とせず、同じ食事が続いても食べ飽きたりストレスを感じることはないといわれているとし、頻繁・急な変更は消化不良や下痢の原因になると注意しています[5](子犬向けの解説ページです)。両者は少し方向が違うので、食べているなら無理に変えない、食べないときに工夫するという使い分けが無難です(筆者の整理です)。

食べない原因や様子見の目安は、犬がドッグフードを食べない原因にまとめています。

多頭飼いのときの管理|成長段階の違う犬、犬と猫、療法食の犬

状況環境省(2018年版)・メーカーが示す工夫
子犬と成犬(成長段階が違う)子犬はケージの中で食べさせる/食餌の時間が終わったらすぐ片付ける/食餌時間をずらす/食べさせる場所を変える[2]
1頭だけ療法食違う場所で給餌する/時間や場所を分けて優先的に与える/他の子が食べている場所に近づけない[7](改訂前の版の記述)
犬と猫必要な栄養素が違う。たまたま食べる分には問題が生じないが、長期的には過不足の可能性。頻繁なら時間や場所を分ける[2]
子犬が先住犬の食事を食べてしまう先住犬が成犬用の総合栄養食や療法食だと、そればかりでは成長期の栄養をとりきれないおそれ。少量口にする程度は問題ないが、主食は成長期用の総合栄養食を[5]

「成犬用を子犬に与える」「子犬用を成犬に与える」の逆パターンは、体重管理の面でも影響します。肥満が気になるときは犬のダイエットはフードで変わる?、量の計算はドッグフードの給餌量の計算方法を参考にしてください。

犬の総合栄養食:よくある質問

Q. 総合栄養食と書いてあれば、どれを選んでも同じですか?

同じではありません。総合栄養食は「基準を満たした」ことを示す表示で、原材料・成分の量・成長段階・食べやすさは製品ごとに違います。袋の読み方はドッグフードの原材料・成分の見方で解説しています。

Q. 総合栄養食だけで、サプリはいらないのですか?

環境省のQ&Aでは、総合栄養食を与えている場合は栄養の不足はおこりにくいとされています[2]。サプリを足したいときは、獣医師に相談を。

Q. ウェットフードだけでも大丈夫ですか?

表示が総合栄養食で成長段階が合っていれば、主食として使えます[4]。ウェットは、開封後の使用期限の目安が1日で、食器に出した後は20分程度を目安に片付けるよう環境省が示しています[1]。ウェットだけを続けた場合の歯の健康などへの影響は、今回の資料では確認できていません。

Q. 手作りごはんだけでも大丈夫ですか?

手作りごはんだけで、犬の栄養基準を満たせるかどうかを直接扱った資料は、今回確認していません。総合栄養食は、そのフードと水だけで栄養バランスが整うよう作られたもの、という位置づけです[4]。手作りを取り入れる場合は、獣医師に相談しましょう。

Q. 犬用の総合栄養食を猫にあげてもいいですか?

環境省は、犬と猫は必要な栄養素が違い、たまたま食べる分には問題が生じないが、長期的には特定の栄養素の過剰・不足が起こりうるとしています[2]。猫には猫用の総合栄養食を。猫側の解説は猫の総合栄養食とは?にまとめています。

Q. 「プレミアム」と書いてあれば、総合栄養食より上ですか?

環境省の改訂前の版のQ&Aでは(現行の2018年版にはありません)、プレミアムの定義は必ずしも決まっておらず、一般的には、消化性やアミノ酸のバランスが優れた原料を使うなど、通常のフードと差別化を図った製品群を指す、とされています[7]。「プレミアム」かどうかと、総合栄養食の基準を満たしているかは別の話なので、袋の目的欄で確認しましょう。

まとめ|主食は成長段階に合った総合栄養食。足し算は控えめに、迷ったら獣医師へ

  • 総合栄養食は、そのフードと水だけで、指定の成長段階の健康を保てる主食。成長段階が合っていないと、栄養不足か肥満になる
  • 一般食・おやつ・サプリは、それだけでは主食にならない。おやつは1日カロリーの10〜20%以内の資料があり、与えた分だけ主食を減らす
  • 総合栄養食を与えていれば、栄養の不足はおこりにくい(環境省)。成長期の大型犬へのカルシウム追加は、過剰になりやすく要注意(環境省の改訂前の版)
  • 飽きる・食べないときは、味の強いおやつや人の食事が原因でないか確認。トッピングやローテーションは、環境省の改訂前の版が挙げる方法
  • 多頭飼いは、時間・場所を分けて、それぞれの成長段階のフードを。持病があるときは獣医師の指導を優先

あわせて読みたい

この記事の参考情報

本文の[1]〜[7]をクリックすると、下の番号にジャンプします。各項目から、元の資料に移動できます。

  1. 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」(2018年版)第2章「市販のペットフードについて」(目的別・水分含量別の分類、ライフステージ別の区分、フードの切り替え方)、第3章「ペットフードの保存方法」、第4章「体調管理について」(おやつの目安) 第2章(PDF)、第3章(PDF)、第4章(PDF)
  2. 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」(2018年版)第5章「Q&A」(犬と猫の違い、ライフステージと多頭飼い、サプリメント) Q&A(PDF)
  3. ペットフード公正取引協議会「表示の基礎知識 03.ペットフードの目的について」(総合栄養食・間食・療法食・その他の目的食の表示事項) pffta.org(ペットフード業界の自主団体の解説です。公的機関の資料ではありません)
  4. ペットフード公正取引協議会「表示に関するQ&A」(総合栄養食の定義、AAFCO基準が元) pffta.org(同上)
  5. ロイヤルカナン ジャポン「子犬期のフードQ&A」(先住犬の食事、同じ食事が続くこと、おやつの量)。royalcanin.com(子犬向けの記述で、フードメーカーの公式ページです。公的機関の資料ではありません)
  6. いなばペットフード株式会社「よくあるご質問」(総合栄養食・おやつ・総合栄養食タイプの定義、ちゅ~るの与え方と上限、缶詰・パウチの保管、賞味期限) inaba-petfood.co.jp(フードメーカーの公式ページです。公的機関の資料ではありません)
  7. 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」改訂前の版 第6章「Q&A」(プレミアム、飽きるとき、サプリメントとカルシウム、療法食の犬の多頭飼い) 全体版(PDF)(2018年に改訂される前の版。現行版ではありません)
  • 犬に必要な栄養素の具体的な数値(AAFCO基準の中身)、手作りごはんだけで栄養を満たせるか、ウェットだけを続けた場合の影響は、今回確認できていません
  • 環境省のガイドラインは2018年に改訂されています。[1][2]は現行の2018年版です。カルシウムの注意、飽きるときの工夫、プレミアムの定義、療法食の犬の多頭飼いの工夫は、現行版には記述がなく、改訂前の版([7])の内容です
  • おやつの目安は、環境省が1日に必要なカロリーの20%以内、ロイヤルカナンが10%以内と資料で異なり、少なめを目安にしたのは筆者の判断です。「食べているなら変えない/食べないときに工夫する」という使い分けも、資料の方向の違いを踏まえた筆者の整理です
  • 特定の商品が総合栄養食の基準を満たしているか、個々のフードの品質の良し悪しは、この記事では判断していません
  • 病気の診断・治療は獣医師が行うものです。この記事は、診断をするものではありません
  • いなばペットフードの記述(総合栄養食・おやつ・総合栄養食タイプの定義、ちゅ~るの与え方と上限)は、同社の公式サイトのよくあるご質問によるものです。個々の商品の区分と本数は、この記事では確認していません。商品のパッケージで確認してください。同社の商品ごとの成分・価格・口コミは、この記事では扱っていません

この記事を書いた人

大手ペットフードメーカーでEC(通販)の責任者を務めている運営者が、公的な資料や業界団体・メーカー公式の資料をもとにまとめました。社名や特定の商品をすすめる目的ではありません。健康に不安があるときは、かかりつけの動物病院に相談してください。