猫のごはん

食いつきの良いキャットフードの選び方|猫が好む仕組みと失敗しない試し方

食いつきの良いキャットフードの選び方|猫が好む仕組みと失敗しない試し方

「食いつきのいいキャットフードを教えて」
「買ったのに、ひと口で見向きもされなかった…」
「ランキング上位なら、うちの子も食べる?」

結論から言います。猫の「おいしい」は、味より先に「香り」と「食感」で決まります[1][2]。そして好みには個体差が大きく、「全員が食べる最強のフード」は選べません。だから大事なのは、ランキングを探すことより、「総合栄養食であること」を確認したうえで、少量から試し、好みの幅を広げておくことです。

この記事では、猫が食事を選ぶ仕組み、食いつきを左右する要素、ウェットとドライの違い、失敗しにくい試し方を、メーカーや保険会社の獣医師監修などの資料をもとに整理します。「今まで食べていたフードを急に食べなくなった」という場合は、先に猫がキャットフードを食べない原因を見てください。

先に確認:「食いつき」の問題ではなく、受診が必要なケース

  • 今まで食べていたのに、急に食べなくなった
  • 食べない状態が1日以上続いている、元気がない
  • 食べたそうに近づくのに、口を気にして食べられない
  • 吐く、下痢をする、水も飲まない

食欲が落ちた状態が続くと、猫は肝臓の病気(脂肪肝)を起こすおそれがあるとされます。「好き嫌いだろう」と決めつけず、様子見の目安と受診の判断はこちらの記事を使ってください。この記事は、病気ではなく、フード選びに悩んでいる場合の内容です。

この記事の読み方(順番に説明します)

  1. 猫は何で「おいしい」を決めるのか
  2. 食いつきの良いフードの選び方(先に確認すること)
  3. ウェットとドライ、どちらが食いつく?
  4. 失敗しにくい試し方と切り替え方
  5. 食いつきを上げる工夫(温める・ふやかす・保管・食器)
  6. 「食いつきランキング」の見方
  7. よくある質問

猫の食いつきは何で決まる?「香り」「食感」「味」の順

猫が食事を選ぶ4つのステップ

ロイヤルカナン(メーカー)の解説では、猫は味よりも香りが大事で、次の順にフードを確かめるとされています[2]。

  1. フードの香りを嗅ぐ
  2. 形・大きさ・食感を口に含んで確かめる
  3. 味わう
  4. 自分に必要な栄養バランスを感じ取る

つまり、フードを口に入れる前に、すでに「食べるか、やめるか」の最初の関門があります。

おいしさを決める3つの要素

アニコム損保のウェブマガジン(2017年掲載)では、犬猫にとって見た目はほとんど関係なく、おいしさを決めるのは「匂い」「食感」「味」の3つとされています[1]。

要素資料に書かれていること選ぶときの意味
匂い猫の嗅覚は人の1万〜10万倍とされ、老いるにつれて鈍くなる。鈍った場合は、フードを温めると匂いが立つ[1]高齢の猫は嗅覚が鈍るため、温めて匂いを立たせる工夫が有効なことがある
食感体のサイズ・口の形・顎の力で、食べやすい形状は変わる。猫は品種によって食べ方も違う[1]粒の大きさ・硬さ・ウェットの形状(ペースト、細かい具など)で試す価値がある
味味を感じる舌の細胞は、人が約9000個、猫は約500個。猫は甘味を感じる細胞がなく、甘いものを食べたがらない[1]「味が薄い・濃い」より、香りと食感の影響が大きいと考えられる
見た目犬猫にとってはほとんど関係ない[1]カラフルさ・形のかわいさは、選ぶ理由にならない

※アニコム損保の記事は2017年の掲載で、数字の元の研究までは確認していません(確認してない)。ロイヤルカナンは、猫は「味より香り」と整理しており、方向性は一致しています。

食いつきの良いキャットフードの選び方|まず「総合栄養食」から

食いつきだけで選ばない

ヒルズ(メーカー)の獣医師監修の解説は、どんなフードを与えるにしても、栄養が完全でバランスが取れた「総合栄養食」であることが非常に重要としています[3]。主食に「おやつ」や「一般食」を選ぶと、食いつきは良くても栄養が足りなくなるおそれがあります。パッケージの「総合栄養食」の表示を、最初に確認してください。見方はキャットフードの原材料・成分の見方で説明しています。

確認する順番

順番確認すること理由
①「総合栄養食」で、対象の年齢が合っている主食として必要な栄養を満たすため[3]。年齢別は子猫・シニア猫の記事へ
②形状(ドライ/ウェット/粒の大きさ)食感は、おいしさを決める要素のひとつ[1]
③いま食べているフードとの違い(食感・香り)違いが大きいほど、切り替えで拒否されやすい。少しずつ慣らす(後述)
④容量・保管のしやすさ開封後に脂肪が酸化すると、臭いで嗜好性が下がる[2]。使い切れる量を選ぶ

ここは冷静に:「食いつきがいい=栄養的に優れている」とは限りません。資料にも、そのような関係は書かれていません(確認してない)。食いつきは「食べてくれるか」の話、総合栄養食は「食べて足りるか」の話。両方を別々に確認します。

ウェットとドライ、どちらが食いつく?

ウェットは嗜好性が高い傾向。ただし「どちらか」にしなくてよい

ヒルズの解説では、ウェットフードは多くの猫がその食感や香りを好む傾向があり、食欲が落ちてドライを食べないときでも、ウェットなら食べてくれることがある、としています[3]。他の利点も挙げられています。

ウェットフードドライフード
食いつき食感や香りを好む猫が多い傾向[3]猫による(食べムラがある場合は工夫が必要[2])
水分水分摂取を増やす一番簡単な方法[3]常に新鮮な水が飲めるようにしておく[3]
その他薬を混ぜやすい。食感や風味の種類が豊富。ドライより高価[3]総合栄養食で、年齢が合っていれば、ドライだけでも問題ない[3]

「好みの幅」を広げておく

ヒルズは、猫は非常に好みがうるさい動物で、幼いうちに特定のものしか食べていないと、その後もそれしか食べなくなることがある、と述べています。気に入っていたフードが販売終了になる、病気で食事が変わる、といった状況に備え、ウェットとドライを限定せずに与えて、好みの範囲を広げておくことをすすめています。どちらも総合栄養食なら、比率は自由に変えてよい、ともしています[3]。

例えば、ドライを自動給餌器で少量ずつ与え、ウェットを1日2回ほど「ごちそう」として足す、という使い方が紹介されています[3]。1日の量は、ウェットとドライの合計でカロリーを考えます(目安はシニア猫の記事のカロリー表も参考に)。

失敗しにくい試し方と、切り替え方

新しいフードは「少量から、混ぜて」

環境省のガイドラインでは、フードの切り替えは、今のフードに少しずつ混ぜ、1〜2週間ほどかけて行うとされています[4]。食いつきを見たいときも同じで、いきなり全量を替えず、少量を混ぜて反応を見るのが基本です。アニコム損保の解説でも、毛玉ケアフードなどの切り替えは1週間くらいかけることをすすめています(切り替え全般は毛玉ケアの記事にも書いています)。

進め方の例見るポイント
最初の2〜3日:今のフード9割+新しいフード1割混ぜた部分だけ避けて食べていないか
その後:新しいフードの割合を、数日ごとに増やす食べる量、便の状態(軟便になっていないか)
全量を替えたあと:数日〜1週間は様子を見る食べる量が落ちないか、吐かないか

※上の表の割合・日数は、環境省の「少しずつ、1〜2週間ほど」を、わかりやすく例にしたものです。猫に合わせて調整してください。

注意:食べないからといって、次々に別のフードを試す前に、食べない状態が続いていないかを確認してください。長引くときは、フードの問題とせず、受診の目安を確認しましょう。

食いつきを上げる4つの工夫|病気ではなさそうなとき

工夫やり方(資料より)
温める温めると匂いの元になる成分が出やすくなる。お湯や電子レンジで37〜38℃程度に[2]
ふやかす約40℃のお湯でドライフードをふやかすと、食感が変わり、水分量も増えて嗜好性が高まる[2]
保管を見直す脂肪がわずかでも酸化すると、臭いで嗜好性が下がる。湿気の少ない冷暗所で保管[2]
食器と環境臭いがつきにくい陶器製、食べやすい高さに置く。落ち着いて食べられる環境を作る[2]。アニコム損保も、プラスチックやステンレスより陶器やガラスの皿を好む、としている[1]

温度は熱すぎないことが大切です。人肌より少し温かい程度を目安にし、必ず手で確かめてから出してください。ドライフードの量が多いときは、ふやかしたぶん、傷みやすくなります。食べ残しは長く置かないようにしましょう(この点の公的な基準は確認していません)。

「食いつきランキング」の見方|上位でも合うとは限らない

「食いつき」で検索すると、ランキング記事が多く見つかります。このサイトでは、特定の商品のランキングは載せていません。理由は2つです。

  • 猫の好みは個体差が大きい。ヒルズも、猫は食べ物にとても好みがうるさいと述べています[3]。他の猫が食べたフードを、愛猫が食べる保証はありません
  • ランキングの評価方法(誰が、何頭で、どう測ったか)が、記事ごとに違うことが多い。私は、個別のランキングの調べ方まではここで確認できていません(確認してない)

ランキングを見るなら、「食いつきの順位」より、総合栄養食か、対象年齢が合っているか、原材料と成分に納得できるかを見る材料にしてください。そのうえで、少量を試して、愛猫の反応で決めるのがいちばん確実です。

猫の食いつき:よくある質問

Q. 猫が好きな味はありますか?

味の好みは猫によって違い、「この味が最強」とは言えません。わかっているのは、猫は味よりも香りと食感の影響が大きいこと、甘味を感じる細胞がないことです[1][2]。

Q. ウェットしか食べません。ドライをやめてもいいですか?

どちらも総合栄養食であれば、ウェットだけにしても問題ない、とヒルズは述べています[3]。ただし、ウェットはドライより高価で、飼い主の経済状況によっては切り替えが必要になることがあるため、ドライも食べられるようにしておく選択もあります[3]。歯の健康など、他の観点は今回の資料では確認していません。

Q. 前は食べていたフードを、急に食べなくなりました

「食いつき」ではなく、体調の変化かもしれません。猫がキャットフードを食べない原因の受診の目安を先に確認してください。開封後の時間が経って酸化し、臭いが変わった可能性もあります[2]。

Q. 高齢になって食いつきが落ちました

猫の嗅覚は、老いるにつれて鈍くなるとされ、フードを温めると匂いが立ちます[1]。ただし、食欲低下は病気のサインのこともあります。シニア猫のキャットフードの記事も参考に、気になるときは受診してください。

Q. 子猫の食いつきが悪いです

子猫の食いつきだけを扱った資料は、今回確認できていません(確認してない)。子猫の食事の回数・切り替えは子猫のキャットフードの選び方にまとめています。食べない・元気がないときは、早めに動物病院へ。

まとめ|ランキングより「総合栄養食+少量で試す」

  • 猫は香り→食感→味の順で確かめる。見た目はほとんど関係ない
  • 食いつきの前に、総合栄養食で、年齢が合っていることを確認する。食いつきと栄養は別の話
  • ウェットは食感や香りを好む猫が多い傾向。ウェットとドライの両方に慣らし、好みの幅を広げておく
  • 新しいフードは、今のフードに混ぜて、1〜2週間ほどかけて切り替える
  • 食いつきが落ちたら、37〜38℃に温める、約40℃でふやかす、冷暗所で保管、陶器の食器に。ただし急な食欲低下は受診
  • ランキング上位でも、愛猫が食べる保証はない。少量を試して決める

あわせて読みたい

この記事の参考情報

本文の[1]〜[4]をクリックすると、下の番号にジャンプします。各項目から、元の資料に移動できます。

  1. anicom you(アニコム損保のウェブマガジン)「犬猫にとって『おいしい』の基準は…」(2017年6月30日掲載)。匂い・食感・味、嗅覚と味覚細胞の数、食器 mag.anicom-sompo.co.jp(ペット保険会社の記事で、公的機関の資料ではありません。掲載から時間が経っています)
  2. ロイヤルカナン「猫が食べないときの工夫(温めたり、ふやかすなど)」。猫が食事を選ぶ4つのステップ、温める・ふやかす・保管・食器 royalcanin.com(ペットフードメーカーによる解説です。公的機関の資料ではありません)
  3. ヒルズペット「猫はウェットフードだけでもよい?」(2023年11月18日。エマ・ミルン獣医師、監修:ハイン・マイヤー博士)。総合栄養食の重要性、ウェットの利点、好みの幅を広げること hills.co.jp(ペットフードメーカーによる解説です。公的機関の資料ではありません)
  4. 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」(2018年版)第2章「市販のペットフードについて」(フードの切り替え方) 第2章(PDF)
  • 特定の商品の食いつきの比較、食いつき(嗜好性)を測る試験の方法や基準、ランキングの評価方法は、今回確認できていません
  • 「食いつきと栄養価の関係」「嗜好性を高める原材料や添加物」「ドライとウェットの保存性・歯への影響」は、今回の資料では確認できていません
  • アニコム損保の記事(2017年)の数字(嗅覚の倍率、味覚細胞の数)は、元の研究までは確認していません
  • 「切り替えの割合の例」は、環境省の考え方をもとにした例で、資料にある表ではありません
  • 病気の診断・治療は獣医師が行うものです。この記事は、診断をするものではありません

この記事を書いた人

大手ペットフードメーカーでEC(通販)の責任者を務めている運営者が、公的な資料や獣医師監修の資料をもとにまとめました。社名や特定の商品をすすめる目的ではありません。健康に不安があるときは、かかりつけの動物病院に相談してください。