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犬のダイエットはフードで変わる?肥満の見分け方・減らす量・選び方と注意点

犬のダイエットはフードで変わる?肥満の見分け方・減らす量・選び方と注意点

「最近、愛犬がぽっちゃりしてきた」
「ダイエット用のドッグフードに変えれば痩せる?」
「どのくらい量を減らしていいの?」

結論から言います。犬のダイエットは、「フードを替える」より先に、「いまの体型を確かめて、量とおやつを見直す」のが基本です。環境省の改訂前の版のガイドラインでは、軽度〜中度の肥満ならフードの量を通常の30〜40%減らして体重の変化を見る、減らすペースは1週間で体重の1〜3%が適当とされていました[3](現行の2018年版には、これらの数字は載っていません。2018年版は「本格的なダイエットが必要な場合には、必ず獣医師の指導の下で行う」としています[1])。ただし、本格的なダイエットは獣医師の指導のもとで行うものです。

この記事では、肥満かどうかの見分け方、減らす量とペース、フードの選び方、やってはいけないダイエットを、環境省と獣医師監修の資料をもとに整理します。

先に確認:自己流のダイエットを始める前に、動物病院へ相談した方がよいケース

  • 急に太ってきた(特に、避妊していないメスで全身的に急に太った場合は、糖尿病も疑われる)
  • 心臓・呼吸器・関節(足腰)・皮膚に持病がある
  • 肥満が病気のサインのことがある(副腎皮質機能亢進症=クッシング症候群、甲状腺機能低下症など)
  • BCS(体型の5段階評価)が5(肥満)に近い

アニコム損保の獣医師監修の解説は、皮膚や心臓にトラブルがある犬は、健康な犬より普通に暮らすだけでも多くのエネルギーが必要で、過度な食事制限は症状の悪化を招くことがあると注意しています[2]。迷ったら、まず相談を。

この記事の読み方(順番に説明します)

  1. うちの子は太っている?(体型チェックと体重)
  2. 太る原因
  3. 減らす量とペース
  4. ダイエットに向くフードの選び方
  5. おやつ・食事時間・運動の工夫
  6. やってはいけないダイエット
  7. よくある質問

犬の肥満の見分け方|BCS(体型の5段階)と体重の測り方

体重より「体型」で見る:BCSとは

犬は犬種による体格差が大きく、同じ犬種でも個体差があるため、「何kgなら適正」と決めにくいのが実情です。そこで基準として使われているのが、肋骨や腰まわりの脂肪の厚さとウエストの形から5段階で評価するBCS(ボディ・コンディション・スコア)です。3が理想で、数字が大きいほど太っています[2]。環境省のガイドラインにも、犬のBCSと体型が絵つきで載っています[1]。

BCS状態体の特徴(環境省の記述を要約)
1痩せ肋骨・腰椎・骨盤が外から容易に見える。触っても脂肪がわからない
2やや痩せ肋骨が容易に触れる。腰のくびれが顕著
3理想的余分な脂肪なしに、肋骨が触れる。上から見て腰のくびれ、横から見て腹部の吊り上がりがある
4やや肥満脂肪はやや多いが肋骨は触れる。腰のくびれは見られるが顕著ではない
5肥満厚い脂肪におおわれて肋骨が容易に触れない。腰のくびれはほとんどない。腹部が垂れ下がることもある

自宅でできるチェックは、真上から見て腰のくびれがあるか、横から見てお腹が吊り上がっているか、肋骨に触れるかの3つです。BCS4〜5に当てはまりそうなら、体重を測って、かかりつけの動物病院で相談しましょう。

肥満の基準と体重の測り方

アニコム損保の解説では、適正体重より15〜30%脂肪が超過した状態を肥満と診断するとされ、この状態がダイエットを始めるタイミングです[2]。ただし、肥満の線引きは資料によって幅があることがあり、他の資料での数字は確認していません。

  • 正確なのは、動物病院の診察台で測る方法。トリミングサロンで測れるところもある
  • 自宅では、飼い主さんが愛犬を抱っこして体重計に乗り、自分の体重を引いて計算する[2]
  • 過度に太ったり痩せたりしていなければ、成長が止まる生後12か月頃の体型が、その子の理想体型・体重の目安になる、とされる[2]

犬が太る原因|量だけでなく「ずっと同じ」も落とし穴

原因内容
エネルギー過多(単純性肥満)加齢で運動量が減り、不妊手術で必要なエネルギーも減る。子犬の頃からずっと同じ量・種類を与え続けると肥満につながる[2]
病気が背景(症候性肥満)クッシング症候群、甲状腺機能低下症など[2]
太りやすい犬種ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、チワワ、パグ、ミニチュア・ダックスフンドなど[2]
おやつ・ごほうび「喜ぶから」と与えすぎる、おやつは「別腹」と考えてしまう[1]
多頭飼い犬は仲間と食べると過食しやすい[2]

環境省も、表示されている給与量は目安で、必要な栄養の量は季節や運動量、性別、避妊去勢の有無などで変わるから、定期的に体重をはかって調節するよう呼びかけています[1]。

犬のダイエットで減らす量とペース|改訂前の版の目安は30〜40%減、1週間で1〜3%

環境省の改訂前の版が示した目安(現行の2018年版にはありません)

環境省の改訂前の版の記述(要約)[3]

  • 本格的なダイエットは、獣医師の指導のもとで行う
  • 軽度〜中度の肥満なら、与えるフードの量を通常の30〜40%減らして、体重の変化をチェックする
  • 1週間で体重が1〜3%減るくらいの割合で、徐々に減らすのが適当
  • 空腹感を抑えるため、1日量を3〜4回に分けて与える
  • フードの量を40%以上減らすような急激なダイエットは、体に悪い影響を与える危険がある

例えば体重10kgの犬なら、1週間で減らす目安は100〜300g。月ではなく週単位で、体重を記録しながら進めます(この計算は、1〜3%という目安を当てはめた例です)。

もとのカロリーを知る

環境省のガイドライン(2018年版)では、1日に必要なエネルギーは、RER(体重×30+70)に係数をかけて計算できるとされています。計算例は、体重5kgの避妊去勢済みの犬で、係数1.6をかけて約352kcalです[1](改訂前の版の「132×体重の0.75乗」は、現行版では使われていません)。ただし、ダイエット中の適切なカロリーは、犬の状態に合わせた計算式があるため、かかりつけの動物病院で一度計算してもらうとよい、とアニコム損保の解説は述べています[2]。体重別の早見表と自動計算はドッグフードの給餌量の計算方法にまとめています。

ダイエットに向くドッグフードの選び方|低脂肪・高繊維、ただし量だけ減らす方法の注意

低脂肪・高繊維がすすめられる理由

アニコム損保の解説では、ダイエットには低脂肪・高繊維食がおすすめとされています。理由は、脂肪が多いほど嗜好性(食いつき)が高く過食しやすいこと、繊維質が多いと満腹感が得られやすいことです[2]。

「ダイエット用の療法食」と「普通のフードを減らす」の違い

ダイエット用に作られた療法食ふだんのフードの量だけ減らす
栄養低脂肪・高繊維などの条件を満たすよう設計され、本格的に取り組むなら「よい」とされる[2]量と一緒に栄養も減るので、体への負担が大きくなることがある[2]
満腹感・ストレス繊維質で満腹感が得られやすい[2]満腹感が得られにくく、盗み食いや無駄吠えなどの問題行動が起こりやすくなる可能性[2]
資料での位置づけアニコム損保:選択肢のひとつ環境省(改訂前の版):軽度〜中度なら、30〜40%減から始めてよい[3]

2つの資料は、少し視点が違います。環境省(改訂前の版)は「軽度〜中度なら量を減らして様子を見る」、アニコム損保は「量だけ減らすと栄養も減るので、本格的にやるなら療法食も」という立場です。どちらにしても、どの方法が愛犬に合うかは獣医師に決めてもらうのが安全です。療法食は獣医師の指示のもとで使うものです。

ふだんの総合栄養食の見方はドッグフードの原材料・成分の見方に、切り替えの手順はドッグフードの切り替え方にまとめています。シニア犬のフードはシニア犬のドッグフードも参考にしてください。

おやつ・食事時間・運動の工夫|減らして終わりにしない

おやつは「別腹」ではない

環境省は、おやつは1日に必要なエネルギー量の20%以内を目安にし、与えた分だけ主要な食事の量も減らすよう呼びかけています[1]。家族全員が同じルールで与えているかも、見直しポイントです。

食事時間を長くする工夫

カロリーを減らすと、飼い主も犬もストレスを感じやすくなります。アニコム損保は、早食い防止用の食器や、フードを入れる知育玩具、穴を開けたペットボトルにドライフードを入れて転がして食べさせる方法などで、食事時間を長くすることをすすめています[2]。ただし誤食に注意し、目を離さないこと、と注意されています。

運動の目安

足腰・心臓・呼吸器にトラブルがない犬では、軽度の運動を20分以上、1日2回行うことが有効とされています。小型犬も、家の外を歩くことは大きな刺激になり、エネルギー消費が増える、と説明されています[2]。環境省も、適度な運動をさせることを肥満予防の注意点に挙げています[1]。

やってはいけないダイエット|急な減量・過度な制限・過度な運動

  • 急激な減量:長期的な計画を立てる[2]。フードを40%以上減らすのは危険[1]
  • 持病があるのに自己流で制限:皮膚や心臓にトラブルがあると、症状の悪化を招くことがある[2]
  • 関節に不安があるのに運動を増やす:足腰にトラブルがあるときは、過度な運動を避ける[2]

肥満を放置するリスクも知っておきましょう。アニコム損保の解説では、心臓の負担増や高血圧(循環器)、首まわりの脂肪による換気障害(呼吸器)、関節や靭帯への負担による骨関節炎や椎間板ヘルニア(運動器)などが挙げられています[2]。「かわいいから」と放置せず、少しずつ、続けられる形で取り組みましょう。

犬のダイエット:よくある質問

Q. ダイエット用のドッグフードに変えるだけで痩せますか?

フードだけで痩せるとは言えません。資料が示す基本は、食事の管理と運動、そしておやつを含めた量の見直しです[2]。フードの選択は、獣医師に相談してください。

Q. 市販の「ライト」「低カロリー」のフードで十分ですか?

市販のダイエット向けフードの表示の基準や、療法食との違いについては、今回の資料では確認できていません。アニコム損保は、本格的に取り組むなら、ダイエット用の療法食もよいとしています[2]。パッケージの「総合栄養食」の表示とカロリー表示を確認し、動物病院で相談してください。

Q. 子犬やシニア犬も、同じ方法でいいですか?

子犬は成長のために多くのカロリーが必要で、環境省は「大きくなるのがイヤだ」と与える量を制限しないよう呼びかけています[1]。子犬・シニア犬の減量そのものを扱った資料は、今回確認できていません。必ず獣医師に相談してください。

Q. 食べたがって鳴きます。あげてもいいですか?

満腹感が得られないと、盗み食いや無駄吠えなど問題行動が起こりやすくなる可能性があります[2]。1日量を3〜4回に分ける(環境省の改訂前の版)[3]、食事時間を長くする[2]、といった工夫から試してください。

Q. 目標体重はどう決めますか?

生後12か月頃の体型が目安になる、とアニコム損保は述べています[2]。具体的な目標は、BCSと合わせて、かかりつけの動物病院で決めてもらうのが確実です。

Q. あまり食べないのに太っています

肥満を伴う病気(クッシング症候群、甲状腺機能低下症など)の可能性があります[2]。食べる量を減らす前に、受診してください。食べないこと自体の悩みは犬がドッグフードを食べない原因にまとめています。

まとめ|体型を確かめて、量とおやつを見直す。無理せず獣医師と

  • 体重より体型(BCS)で見る。真上のくびれ、横の吊り上がり、肋骨に触れるかを確認
  • 減らす目安は、環境省の改訂前の版では軽度〜中度でフードを30〜40%減、体重は週に1〜3%減。1日量は3〜4回に分ける。40%以上減らすのは危険
  • フードは低脂肪・高繊維が向く。ただし量だけ減らすと栄養も減るため、本格的にやるなら療法食も含め、獣医師に相談
  • おやつは、与えた分だけフードを減らす。食事時間を長くする工夫、軽い運動(20分以上を1日2回が目安)も
  • 急に太った、持病がある、BCS5に近いときは、自己流で始めず受診

あわせて読みたい

この記事の参考情報

本文の[1]〜[3]をクリックすると、下の番号にジャンプします。各項目から、元の資料に移動できます。

  1. 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」(2018年版)第4章「体調管理について」(痩せすぎ・太りすぎにしないために。カロリーの計算式と計算例、犬のBCSと体型、おやつの目安) 第4章(PDF)
  2. アニコム損害保険「犬のダイエット|適正体重やフード、肥満予防について解説【獣医師監修】」(2024年12月11日更新。監修:箱崎加奈子獣医師)。肥満の基準、BCS、原因、食事・運動、NGなダイエット、肥満のリスク anicom-sompo.co.jp(ペット保険会社が公開する、獣医師監修の記事です。公的機関の資料ではありません)
  3. 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」改訂前の版 第5章「体調管理について」(肥満のダイエットの目安:30〜40%減・週1〜3%・1日3〜4回・40%以上は危険) 第5章(PDF)(2018年に改訂される前の版。現行版ではありません)
  • 環境省のガイドラインは2018年に改訂されています。ダイエットの数字(30〜40%減など)は、改訂前の版の内容で、現行の2018年版には載っていません。現行版は、本格的なダイエットは獣医師の指導の下で、と示しています
  • 市販のダイエット向けフードの表示の基準、療法食との違い、特定の商品の効果は、今回確認できていません
  • 肥満の判断基準(適正体重の15〜30%超過)は、アニコム損保の記事の記述です。他の資料での数字は確認していません
  • 子犬・シニア犬の減量、具体的な目標体重の決め方、犬種ごとの運動量は、今回の資料では確認できていません
  • 「体重10kgで週100〜300g」は、環境省の「週1〜3%」を当てはめた計算例で、資料にある数字ではありません
  • 病気の診断・治療は獣医師が行うものです。この記事は、診断をするものではありません

この記事を書いた人

大手ペットフードメーカーでEC(通販)の責任者を務めている運営者が、公的な資料や獣医師監修の資料をもとにまとめました。社名や特定の商品をすすめる目的ではありません。健康に不安があるときは、かかりつけの動物病院に相談してください。