
「うちの子、そろそろシニア用に変えたほうがいい?」
「何歳から切り替えるの? 7歳? 大型犬は?」
「シニア用に変えたら、食べなくなった…」
結論から言います。シニア用への切り替えは、小型・中型犬は7歳ごろ、大型犬は5歳ごろが目安とするメーカー解説があります。一方、環境省のガイドライン[1]は、シニアに入る時期を大型犬6〜7歳、小型犬8〜10歳くらいとしています。資料によって違うので、年齢だけで決めず、体重・体型・食べ方・健康診断の結果を見て、かかりつけの獣医師と相談して決めるのが安心です。切り替えは、1〜2週間かけて、少しずつ行います。
この記事では、シニア犬のフードの選び方を表で整理したうえで、切り替え時期の目安、混ぜ方の表、量の考え方(肥満を防ぐ減らし方)、食べないときの工夫、動物病院に相談するサインを、順番に説明します。
この記事の読み方(先に結論の一覧です)
- 切り替えの目安は、資料により5〜10歳と幅がある。体格と体調で決める
- フードは「総合栄養食」で、対象年齢が愛犬に合うものを選ぶ
- 切り替えは1〜2週間かけて、少しずつ混ぜて増やす
- 運動量が減るので、肥満に注意。量は体重と体型を見て調整
- 食べないときは、温める・ふやかす・ウェットにする。続くなら受診
シニア犬のドッグフードはいつから?切り替え時期の目安
資料によって違う「シニアの始まり」
| 資料 | 小型犬 | 中型犬 | 大型犬 |
|---|---|---|---|
| 環境省ガイドライン[1](シニアに入る時期) | 8〜10歳くらい | (記載なし) | 6〜7歳くらい |
| ヒルズの解説[3](老化がはじまる年齢) | 7歳ごろ(小型・中型犬) | 5歳ごろ | |
ヒルズの解説は、犬の年齢に明確なシニアの定義はなく、犬種や大きさによって寿命も違うので、犬の大きさ別に、シニアフードへの切り替えを考えるのがよいとしています。「7歳になったらすぐ」と決めつけず、愛犬の様子を見て判断してください。
なお、ペットフード公正取引協議会[2]の規約が示す成長段階は、哺乳期、幼犬期(成長期)、成犬期(維持期)、妊娠・授乳期、全成長段階(オールステージ)の5つです。この一覧に「シニア」という区分は出てきません。シニア向けの対象年齢(「7歳以上」など)の書き方は、メーカーごとに違います。袋の表示で、対象年齢が愛犬に合っているかを確認しましょう。
こんな変化が出てきたら、見直しのサイン
- 散歩や遊びの量が減ってきた
- 同じ量を食べているのに、体重が増えてきた
- 食べる量が減ってきた、食べるのが遅くなった
- 硬いフードを残す、噛みにくそうにしている
- うんちがゆるい、または出にくい
ヒルズの解説は、シニア犬は成犬と比べて代謝が落ちるため、成犬と同じフードを与えると、カロリー過剰になって体重が増え、肥満のリスクが高まるとしています。そのほかにも、食欲が落ちる、下痢・便秘など消化機能の衰え、硬いものが食べにくくなる、といった変化が見られることがあります。ただし、変化の出方は犬によって違います。
シニア犬のドッグフードの選び方|表示で確認する6つのポイント
| ポイント | 確認すること | 理由 |
|---|---|---|
| ①総合栄養食か | 袋の目的が「総合栄養食」 | 毎日の主食になるフードの条件(ペットフード公正取引協議会[2]) |
| ②対象年齢 | 袋の対象年齢と愛犬の年齢が合っている | ヒルズの解説[3]が、最初に確認するポイントとして挙げている |
| ③カロリー・脂質 | 運動量に合ったカロリー。低脂肪・低カロリーのものが望ましい | 運動量が減るため(ヒルズの解説) |
| ④たんぱく質の質 | 質のよいたんぱく質をベースにした総合栄養食 | ヒルズの解説 |
| ⑤食べやすさ | 粒の硬さ・大きさ、ドライかウェットか | 硬いフードを噛めなくなることがある(ヒルズの解説) |
| ⑥持病の有無 | 病気や症状があるときは、獣医師に相談 | 愛犬に適した療法食や総合栄養食を選ぶ必要があるため(ヒルズの解説) |
なお、ヒルズの解説は、消化を促す酵素や、関節のためのグルコサミンなどの成分が入ったフードがよい、とも書いています。ただし、これらの成分の効果の程度は、この記事では確認していません。表示の見方は、ドッグフードの原材料・成分の見方で説明しています。
シニア用への切り替え方|1〜2週間かけて、少しずつ
環境省のガイドライン[1]は、シニア用フードへの切り替えは、従来の食餌に少しずつ混ぜながら移行することをすすめています。特に健康に気をつけて、スムーズに切り替えるため、慣れた食餌に少しずつ混ぜて、1〜2週間かけて、徐々に切り替えるとしています。
| 日数 | 今のフード | 新しい(シニア用)フード |
|---|---|---|
| 1〜3日目 | 75% | 25% |
| 4〜7日目 | 50% | 50% |
| 8〜10日目 | 25% | 75% |
| 11〜14日目 | 0% | 100% |
※割合の表は、一般的に紹介されている目安です。割合そのものを、公的機関が定めたものではありません。うんちがゆるくなったり、食べなくなったりしたら、1つ前の割合に戻して数日様子を見ます。グラムの計算方法や、下痢・嘔吐の対処は、ドッグフードの切り替え方の記事で説明しています。
シニア犬のごはんの量|太らせない・痩せさせないための考え方
量の基本は、袋の目安+体重と体型の観察
環境省のガイドライン[1]は、フードに書かれた給与量は目安で、必要な栄養の量は季節や運動量、性別、避妊去勢の有無などによって変わるとしています。定期的に体重をはかり、理想的な体型を維持できるよう、与える量を調節しましょう。環境省(2018年版)が示しているカロリーの式は、RER(体重×30+70)に係数をかける簡易式で、シニア向けの係数は、この記事では確認できていません(避妊去勢済みの犬の例は係数1.6で、体重5kgなら約352kcalです。改訂前の版の「132×体重の0.75乗」は、現行版では使われていません)。シニアになって運動量が減ると、必要な量も変わるので、体重と体型(BCS)の変化で調整してください。
太ってきたとき:ガイドラインの減らし方
環境省のガイドラインは、肥満を防ぐには、適度な運動と食事管理が必要で、おやつは1日に必要なエネルギー量の20%以内を目安にするとしています。おやつをあげるなら、あげた分だけフードを減らすことが大切です。
本格的なダイエットは獣医師の指導のもとで行う必要があります(環境省)。次の数字は、環境省の改訂前の版にあった目安で、現行の2018年版には載っていません。軽度〜中度の肥満の場合は、与えるフードの量を通常の30〜40%減らして体重の変化をチェックし、1週間で体重が1〜3%減るくらいのペースで徐々に減らすのが適当、とされていました。空腹感を抑えるために、1日量を3〜4回に分けて与える、40%以上減らす急激なダイエットは、体に悪い影響を与える危険がある、という内容でした。
シニア犬がフードを食べないときの対処
切り替えたフードを食べない原因と、飼い主にできること
ヒルズの解説[3]では、シニアフードに切り替えても食べないことがあり、原因として、味・香りが好みに合わない、口の中や胃腸にトラブルがあって食欲が落ちている、歯やあごに問題があって噛むのが難しい、などを挙げています。病気が原因でないときは、次のような工夫があります。
- 温めて香りを立て、食欲を刺激する
- ふやかしてやわらかくする。ウェットタイプに切り替える
- 食器の数を増やす、食べやすい高さにする(一般的な工夫)
何をしても食べないときは、病気などのトラブルが原因の可能性があるので、できる限り早く動物病院で診察を受けてください(ヒルズの解説)。環境省のガイドライン[1]も、少しでも異変を感じたら早めに獣医師に診てもらうよう書いています。食べない原因の切り分けと様子見の目安は、犬がドッグフードを食べない原因で説明しています。
こんなときは動物病院へ|シニア犬の体調チェック
環境省のガイドライン[1]は、日頃の体調管理で見るポイントとして、食欲がない(正常な犬でもフードを1〜2日食べない個体もいますが、積極的に食べない場合は病気の兆候とも考えられます)、散歩に行きたがらなくなった、元気がなくぐったりしている、嘔吐をくりかえす、咳がひどい、熱がある(犬の正常体温は38.0〜39.0℃)、呼吸の変化、毛のツヤやフケの量の変化、便や尿のにおい・色・回数・量の変化などを挙げています。ヒルズの解説[3]も、高齢犬や特別なケアが必要な犬は、より頻繁な検診が必要になる場合がある、としています。
シニア犬のドッグフードでよくある質問
Q. 7歳になったら、すぐシニア用に変えるべき?
資料によって、シニアの始まりの目安は異なります(小型犬で8〜10歳くらい、小型・中型犬で7歳ごろ、など)。年齢だけで決めず、体重・体型・食べ方・健康診断の結果を見て、獣医師と相談してください。
Q. 大型犬はいつから?
大型犬は、小型犬より老化が早いとされています。環境省のガイドライン[1]では6〜7歳くらい、ヒルズの解説[3]では5歳ごろが目安です。大型犬の成長期のカルシウムの注意は、子犬のドッグフードの選び方で説明しています。
Q. 成犬用のままではダメ?
ヒルズの解説では、成犬と同じフードを与えると、カロリー過剰で肥満のリスクが高まるとしています。ただし、体重と体型が安定していて、獣医師が問題ないとするなら、そのまま続けることもあるでしょう。まず、体重とBCSを確認してください。
Q. 持病があるときは?
病気や症状があるときは、自己判断せず、獣医師に相談してください。療法食は、必ず獣医師の指導のもとで与えるフードです(ペットフード公正取引協議会[2])。切り替えの方法も、獣医師の指示を優先します。
Q. サプリメントは必要?
環境省のガイドラインでは、総合栄養食を与えている場合は栄養の不足はおこりにくい、としています。複数の健康補助食品を使うときは悪影響が出ることがあるので、獣医師に相談してください。
まとめ|シニア犬のごはんは「年齢だけで決めず、体重と体調を見て、少しずつ」
- 切り替えの目安は、小型・中型犬7歳ごろ、大型犬5歳ごろ(ヒルズ)、または大型犬6〜7歳、小型犬8〜10歳くらい(環境省)。体格と体調で決める
- フードは、「総合栄養食」で対象年齢が合い、運動量に合ったカロリーのものを選ぶ
- 切り替えは1〜2週間かけて、少しずつ混ぜて増やす
- 太ってきたら、おやつを控え、軽度〜中度なら通常の30〜40%減を目安に(環境省の改訂前の版の数字)。40%以上の急な減量はNG
- 食べないときは、温める・ふやかす・ウェットにする。続くなら早めに受診
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本文中の [1] [2] などの数字は、この一覧へのリンクです。一覧の各項目から、元の資料へ移動できます。
- 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」(2018年版)(中高齢期に入る時期・肥満の予防とおやつの目安・カロリーの計算式・犬の体調管理・サプリメント)第2章(PDF)、第4章 体調管理(PDF)、第5章 Q&A(PDF)。改訂前の版(肥満のダイエットの数字の記述あり)体調管理(PDF)。2018年に改訂されており、本文で「改訂前の版」と書いた記述は、現行版にはありません
- ペットフード公正取引協議会「公正競争規約に基づく必要表示事項及び表示制限について」(総合栄養食・療法食の定義・成長段階の区分)pffta.org
- ヒルズ「シニア犬(高齢犬)フードのポイントと与え方【獣医師監修】」(老化がはじまる年齢・代謝の低下・フードの選び方・食べないときの工夫)hills.co.jp(メーカーの解説です)
- 割合の表、「食器の数を増やす・高さを変える」は、公的資料では確認できていない一般的な目安・工夫です
- 消化酵素・グルコサミンなどの成分の効果、シニア向けのカロリー係数は、確認していません
- 病気の診断・治療は獣医師が行うものです。この記事は、診断をするものではありません
この記事を書いた人
大手ペットフードメーカーでEC(通販)の責任者を務めている運営者が、公的な資料などをもとにまとめました。社名や特定の商品をすすめる目的ではありません。健康に不安があるときは、かかりつけの動物病院に相談してください。