猫のごはん

猫に与えてはいけない食べ物は?タマネギ・チョコ・生の魚介類など環境省の整理と対処

猫に与えてはいけない食べ物は?タマネギ・チョコ・生の魚介類など環境省の整理と対処

結論から言います。猫に与えてはいけない代表的な食べ物は、タマネギ・ネギ・ニラ・ニンニク、チョコレート、ブドウ・干しブドウ、鶏の骨、そして生の魚介類(イカ・タコ・エビ・カニ・貝・生魚)です。環境省のガイドラインは、「人の食べ物でも、犬や猫には害を及ぼす場合があります」として、これらを「与えてはいけないもの」に挙げています[1]。猫は、生の魚介類でビタミンB1が欠乏して後脚の麻痺を起こすことがある、と書かれている点が、犬との大きな違いです[1]。

この記事では、環境省のガイドライン(2018年版)をもとに、猫の飼い主さん向けに、「与えてはいけないもの」「注意が必要なもの」、塩分・糖分・牛乳の考え方、誤飲しやすいもの(ひも・観葉植物など)、食べてしまったときの動き方、よくある質問を順番に説明します。犬の記事は犬に与えてはいけない食べ物にあります。

すぐに動物病院へ連絡したほうがよいケース

  • タマネギ類・チョコレート・ブドウ(干しブドウを含む)・ユリなどを食べた・かじった可能性がある(症状がなくても、まず連絡)
  • 嘔吐をくりかえす、ぐったりして元気がない、けいれん、呼吸がおかしい、血尿が出る
  • ひも・糸・竹串・骨などを飲み込んだ可能性がある
  • 1日以上1か所に隠れて出てこない、休みなく鳴いている、3日以上食欲がない(環境省は、猫が3日以上食欲がない場合は健康に影響が出る危険があるとしています[2])

環境省のガイドラインは、体調不良が見られたら、まずかかりつけの獣医師に診てもらうこと、そのときに製品や食べたものの情報(できれば現物やパッケージ、食べたときの様子)を伝えることを案内しています[1]。何gから危ないか、といった数字は、今回の資料では確認できていません。自己判断で様子見をせず、動物病院に相談してください。診断や治療は獣医師が行うものです。

この記事の読み方(先に結論の一覧です)

  1. 与えない:タマネギ類・チョコレート・ブドウ類・鶏の骨・生の魚介類
  2. 注意が必要:レバー・ホウレン草・カフェイン飲料・生肉・香辛料・生の卵白・にぼし・海苔
  3. 量に注意:塩分の多い人の食べ物、牛乳
  4. 誤飲・中毒:ひも・糸・竹串、そして観葉植物や花(特にユリ)
  5. 食べてしまったら、様子見をせず動物病院へ。食べたものと量をメモして持参

環境省が挙げる「与えてはいけないもの」|猫の場合

環境省のガイドラインの「与えてはいけないもの」は、次の6項目です[1]。キシリトールの項目は「犬が食べてしまうと」という書き方で、猫についての記述ではありません。猫には当てはめず、表で分けて示します。

食べ物猫に起こりうること(環境省の記述の要約)
タマネギ・ネギ・ニラ・ニンニク赤血球を壊す成分(アリルプロピルジスルフィド)。大量に食べると、血尿、下痢、嘔吐、発熱など。加熱しても分解されない
チョコレート犬ではテオブロミンが原因で嘔吐、下痢、発熱、けいれんの発作など。猫でも同様の症状を起こすことがある
鶏の骨縦にさけやすく、噛んで割れるととがった形になり、のどや消化管を傷つける
生の魚介類(魚・イカ・タコ・エビ・カニ)ビタミンB1を分解する酵素を持つため、猫に与えるとビタミンB1が欠乏して後脚の麻痺を起こす。必ず加熱調理して与える
ブドウ・干しブドウ犬や猫にとって腎不全の原因になる。特に、ブドウの皮は与えてはいけない
キシリトール入りのガムなど資料は犬について、少量でも血糖値の低下、嘔吐、肝不全などを起こすとしている(猫についての記述はありません)

生の魚介類|「猫に魚」は加熱が前提

環境省は、生のイカや貝などの魚介類や、カニ、エビなどの甲殻類は、ビタミンB1を分解する酵素を持っているため、猫に与えると体内のビタミンB1が欠乏して後脚の麻痺を引き起こす、と説明しています。そして、魚介類は必ず加熱調理をして与えるようにとしています[1]。刺身の残りや、生のエビ・イカを「ごほうび」にするのは避けてください。加熱した魚をあげる場合でも、味付けをしない、骨を取り除く、量を少なくする、といった配慮が必要です(これらは筆者の整理で、資料の記述ではありません)。

タマネギ・ネギ・ニラ・ニンニク|加工食品や煮汁にも

環境省は、これらに含まれる有害な成分が赤血球を壊し、大量に食べると血尿や下痢、嘔吐、発熱などを引き起こすおそれがある、加熱しても分解されないと説明しています。ハンバーグやカレーなどの加工食品、タマネギのエキスがしみ出た味噌汁やすき焼きの煮汁も同じで、与えてはいけません[1]。人の食事の取り分けは、猫にもしないのが基本です。

チョコレート|「猫でも同様」と書かれている

環境省は、犬にチョコレートを与えるとテオブロミンが原因で嘔吐、下痢、発熱、けいれんの発作などを引き起こす、猫でも同様の症状を起こすことがあるので与えてはいけない、としています。室内飼育では、買い置きのチョコレートなどを部屋に放置しないようにとも注意しています[1]。

鶏の骨・ブドウ

鶏の骨は、のどや消化管を傷つけることがあるため、犬や猫に与えてはいけません[1]。ブドウ・干しブドウは腎不全の原因になり、特にブドウの皮は与えてはいけない、とされています[1]。レーズン入りのパンやお菓子にも注意しましょう。

環境省が挙げる「注意が必要なもの」

食べ物何が問題か考え方(環境省の記述)
レバービタミンAが多く、過剰に摂取すると食欲不振、関節炎。猫でも同様に注意が必要与えすぎない
ホウレン草シュウ酸が多く、シュウ酸カルシウム尿石症の原因になる茹でてアク抜きをするとシュウ酸の量を減らせる
コーヒー・緑茶・紅茶などカフェインで、下痢、嘔吐、体温不調、多尿、尿失禁、テンカンの発作など与えない
生肉有害な寄生虫や細菌がいる可能性加熱調理で予防
香辛料耐性が低く、肝臓障害の症状を引き起こすことがある与えない・味付けしない
生卵(生の卵白)生の卵白を与え続けるとビオチン欠乏で皮膚炎、成長不良加熱すれば問題なし。全卵なら卵黄にビオチンが多く欠乏症にならない
にぼし、海苔マグネシウムの過剰が要因で、尿路疾患を起こすことがある与えすぎない

※「与えない・味付けしない」「与えすぎない」は、資料の記述をもとに筆者がまとめた書き方です。資料は、項目ごとの具体的な量を示していません。

猫は、にぼしや海苔、レバーなど、「猫の好物」のイメージがあるものが多く含まれています。好きだから毎日、が続くと偏りやすいので、おやつやトッピングとして少量にとどめ、主食は総合栄養食を基本にしましょう。主食の考え方は猫の総合栄養食とは?にまとめています。

塩分・糖分・牛乳|猫は「甘み」も「乳糖」も苦手

塩分|人の味付けは濃すぎる

環境省は、人が味付けをしている食事、総菜、ハムなどを犬や猫に与えると塩分摂取量が過剰になることがあり、塩分の摂りすぎは、人と同様に心臓や腎臓に負担をかけるとしています。チーズ等は犬猫専用のものを、とも書かれています[1]。

同じ資料には、体重5kgの猫(避妊去勢済み)の1日の塩分摂取量の目安が0.33gと載っています(AAFCO Official Publication 2016を出典とし、1日のエネルギー要求量をもとに算出した値と注記)。10gあたりの食塩量の例は、しらす干し0.54g、プロセスチーズ0.28g、ロースハム0.25g、かつおぶし0.24g、ベーコン0.20g、ウィンナー0.19g、塩シャケ0.18g、食パン0.13gなどです。参考として、キャットフード(ドライ)は10gあたり0.046gです[1]。

10gあたりの食塩量(環境省の資料の例)食塩量
しらす干し0.54g
プロセスチーズ0.28g
ロースハム0.25g
かつおぶし0.24g
ベーコン0.20g
塩シャケ0.18g
キャットフード(ドライ)0.046g

※数字は環境省の資料の抜粋です。かつおぶし・しらす干しは、猫に与えやすい分、塩分が高めである点に注意が必要、という見方は筆者の整理です。

糖分|猫は甘みを感じられない

環境省は、猫は甘みを感じることができず、フルクトース(果糖)を代謝する酵素も持っていない、と説明しています[1]。猫に甘いお菓子や果物をあげる必然性はなく、あげないのが基本と考えるのが安全です(この結論は筆者の整理です)。

牛乳|子猫は栄養不足、成猫は下痢

環境省は、犬や猫の母乳は牛乳に比べてたんぱく質や脂肪が多く、乳糖などの糖質や水分が少ないと説明しています。乾物のパーセントで比べると、牛乳はたんぱく質29%、脂質28%、糖質(乳糖など)40%、ミネラルなど3%、猫の母乳はたんぱく質36%、脂質42%、糖質19%、ミネラルなど5%です[1]。

子猫に牛乳を与えると、水分が多く脂質が少ないためエネルギーやたんぱく質が不足し、健全に成長できないことがあります。成猫に乳糖の多い牛乳を与えると、乳糖をうまく消化吸収できず、下痢を起こすことがあります[1]。母乳が飲めない子猫には、猫専用のミルクを与えます[3]。

誤飲・中毒|ひも・糸、観葉植物と花

環境省は、誤飲は少し目を離した隙に起きることが多く、命にかかわる事故につながるため、犬や猫が口にして困るものは手が届かないように工夫すること、としています[2]。

  • ストッキング、靴下、ひも、糸:ひも状の異物を飲み込んで腸管に絡まると重大な事故になる。絨毯などからほつれた糸も原因になる
  • 竹串、トウモロコシの芯、果物の種(大きいもの):丸ごと飲み込んで胃や腸に刺さったり、詰まったりする。そのまま与えない
  • 観葉植物:犬や猫に嘔吐、心臓麻痺、けいれんなど中毒を起こすものが多い。ユリ(植物全体)、チューリップ(球根)、ポインセチア(茎、葉)、アサガオ(種子)は、有害な成分を持つ。これらは一部で、ほかの観葉植物にも注意が必要

猫は、高いところに登ったり、花瓶の周りをなめたりするので、花束や鉢植えを置く場所に注意が必要です。ユリは、環境省が「植物全体」と書いているとおり、花瓶の水や花粉にも注意が必要と考える(筆者の整理)のが安全です。来客からの花のプレゼントにも気をつけてください。毛づくろいで飲み込む毛玉の問題は猫の毛玉ケアで説明しています。

食べてしまったときの動き方(手順)

  1. 口の中のものを取り除く。無理に吐かせたり、水や牛乳を大量に飲ませたりしない(自己判断で処置をしない)
  2. 何を、いつ、どのくらい食べたかをメモする。包装があれば、成分表示の写真も撮る
  3. 猫の体重を伝えられるようにする
  4. 動物病院へ電話する。夜間・休日は救急対応の病院を探す
  5. パッケージや、食べ残し、嘔吐物があれば持参する[1]

「家で吐かせる方法」や、食べた量ごとの危険度は、今回の資料では確認できていません。誤った処置で悪化することもあるので、必ず獣医師の指示に従ってください。

予防のコツ|家の中を「猫目線」で見直す

場面起こりやすい事故対策
食事中・テーブルおかずをなめる・盗む調理中・食事中は別の部屋へ。ラップでふたをする
ごみ箱骨・竹串・包装を漁るふた付き、届かない場所
花・観葉植物かじる、花瓶の水を飲むユリ・チューリップ・ポインセチア・アサガオは特に注意[2]。置かない選択も
裁縫・おもちゃ糸・ひもを飲み込む使い終わったらしまう。遊ぶときは見守る
ごほうび与えすぎ、塩分・偏り猫用のおやつを、量を決めて。おやつは1日のエネルギー量の20%以内が目安[2]

※「対策」の列は一般的な工夫として筆者がまとめたものです(植物名とおやつの目安は環境省の記述です)。

猫に与えてはいけない食べ物:よくある質問

Q. 猫に魚をあげてもいいですか?

環境省は、魚介類は必ず加熱調理をして与えるようにとしています[1]。生のままは避け、味付けのない加熱したものを少量にとどめるのが無難です(後半は筆者の判断)。主食は総合栄養食が基本です。

Q. 少しなら、チョコレートやタマネギを食べても大丈夫ですか?

「少しなら大丈夫」とは言い切れません。何gから危険かという数字は、今回の資料では確認できていません。食べた可能性があれば、動物病院に相談してください。

Q. 加熱すればタマネギは大丈夫ですか?

いいえ。環境省は、有害な成分は加熱しても分解されないと書いています[1]。

Q. 猫に牛乳をあげたいときは?

成猫は下痢を起こすことがあります[1]。ミルクが必要なときは、猫専用のものを使います。

Q. 犬用のフードを食べてしまいました。大丈夫ですか?

環境省のQ&Aは、犬と猫は必要とする栄養素が違い、たまたま少量を食べる分には問題が生じないが、長期的には特定の栄養素の過剰・不足が生じて健康上の問題を引き起こす可能性がある、としています。さらに、犬用フードには保湿性のためにプロピレングリコールが添加されているものがあり、その程度でも猫には悪影響を及ぼす可能性がある、としています(ペットフード安全法では、プロピレングリコールは猫用には使えません)。食事の時間や場所を分けて、犬・猫専用のフードを間違いなく与えましょう[3]。

Q. 猫が食べなくなったのは、拾い食いが原因でしょうか?

原因は一つとは限りません。環境省は、猫の場合、3日以上食欲がないと健康に影響が出る危険があるとしています[2]。誤食の心当たりがあるときは、早めに受診してください。原因の切り分けは猫がキャットフードを食べない原因で説明しています。

Q. 去勢・避妊後の猫のおやつや人の食べ物はどう考えますか?

太りやすくなる傾向があるため、おやつの量にはより注意が必要です。詳しくは猫の去勢・避妊後はフードを変える?をご覧ください。

まとめ|「与えない」「量に注意」「手の届かない場所へ」

  • 環境省が「与えてはいけない」とするのは、タマネギ類、チョコレート、鶏の骨、ブドウ・干しブドウ、生の魚介類(キシリトールは犬についての記述)
  • 生の魚介類は、猫のビタミンB1欠乏(後脚の麻痺)の原因。必ず加熱
  • タマネギの有害成分は加熱しても分解されない。加工食品や煮汁にも注意
  • レバー、ホウレン草、カフェイン飲料、生肉、香辛料、生の卵白、にぼし・海苔は注意が必要
  • 塩分は少量でも多い(体重5kgの猫で1日0.33gが目安)。猫は甘みを感じられず、牛乳は下痢のもと
  • ひも・糸・竹串、観葉植物(特にユリ)は誤飲・中毒の原因
  • 食べてしまったら、様子見をせず動物病院へ

あわせて読みたい

この記事の参考情報

本文の[1]〜[3]をクリックすると、下の番号にジャンプします。各項目から、元の資料に移動できます。

  1. 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」(2018年版)第1章「最初に知っておきたいこと」(乳の成分、塩分・糖分、与えてはいけないもの・注意が必要なもの) 第1章(PDF)
  2. 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」(2018年版)第4章「体調管理について」(日頃の体調管理、猫で注意する点、誤飲・観葉植物、おやつの目安) 第4章(PDF)
  3. 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」(2018年版)第2章「市販のペットフードについて」(哺乳期のミルク)、第5章「Q&A」(犬と猫の混食) 第2章(PDF)、第5章 Q&A(PDF)
  • 食べた量と症状の重さの関係(何gから危険か)、家で吐かせる方法、猫に対するキシリトールの影響、ココアやお菓子に含まれる成分は、今回の資料では確認できていません
  • キシリトールの項目は、環境省の資料では犬についての記述です。猫には当てはめていません
  • 「加熱した魚は味付けなしで少量」「ユリは花瓶の水や花粉にも注意と考える」「おやつやトッピングは少量にとどめる」「予防の表」「受診の手順」は、資料をもとにした筆者の整理・判断です
  • 環境省のガイドラインの書き方は要約で、原文とは言い回しが異なります。詳しくは原典をご覧ください
  • 病気の診断・治療は獣医師が行うものです。この記事は、診断をするものではありません

この記事を書いた人

大手ペットフードメーカーでEC(通販)の責任者を務めている運営者が、公的な資料や業界団体・メーカー公式の資料をもとにまとめました。社名や特定の商品をすすめる目的ではありません。健康に不安があるときは、かかりつけの動物病院に相談してください。