
「大容量の方が割安だけど、使い切れる?」
「開封したドッグフードは、どこに・どう保存すればいい?」
「冷蔵庫に入れた方が長持ちする?」
結論から言います。ドライフードの保存は、「袋の封をしっかり閉じて、直射日光の当たらない、温度と湿度が低い場所に常温で置く」のが基本です。環境省のガイドラインは、冷蔵庫は出し入れで表面に結露が生じ、カビの原因になることがあるため、常温保存をすすめています[1]。大容量を選ぶかどうかは、「割安さ」より「開封後、なるべく早く使い切れる量か」で決めましょう。環境省も、開封後はなるべく早く使い切ることが大切で、犬の大きさに合ったサイズの製品を選ぶよう呼びかけています[1]。使用期限の目安として、ドライフード・ソフトドライフードは開封後約1か月と示しています[1]。
この記事では、環境省とペットフード公正取引協議会、ヒルズ(日本のメーカー公式)の資料をもとに、保存場所・容器・ウェットとの違い・大容量を買うときの考え方を整理します。
先に確認:傷んだかもしれないフードを食べたあとの様子
- 嘔吐・下痢が続く、ぐったりしている、食欲がない
- カビや虫、ふだんと違うにおいなど、見た目やにおいに異常があるフードを食べてしまった
環境省は、保管状況が悪いとカビや細菌が繁殖して、犬や猫の体調不良につながることがあると注意しています[1]。異常を感じたら、そのフードは与えず、体調に変化があれば動物病院に連絡してください。
この記事の読み方(順番に説明します)
- 賞味期限が意味すること
- ドライフードの保存場所・容器
- ボウルに出したあと、食べ残しの扱い
- ウェット・缶詰・手作りの保存
- 大容量を買うときの考え方
- よくある質問
ドッグフードの賞味期限は何を保証している?「未開封・定められた方法で保管」が前提
賞味期限の定義
ペットフード公正取引協議会(フードの表示ルールを定める業界団体)の解説では、ペットフードの賞味期限は、常温・未開封など、定められた方法で保管した場合に、すべての品質を保つと認められる期間です。期間が過ぎた後に直ちに品質が劣化することがないよう、科学的な根拠に基づき、余裕をもって設定する必要がある、とされています[2]。
つまり、賞味期限は「開封前」「正しい保管」が条件です。環境省も、保存条件が悪いと、たとえ賞味期限内でも品質が悪くなることがあると注意しています[1]。開封後の期限としては読めません。
賞味期限の見つけ方
袋のどこに書かれているかは、製品によって違います。ヒルズの例では、ドライは小容量なら袋の裏面の下部、中〜大容量なら裏面の上部に印字され、「月/西暦4桁/品質管理コード」の順に書かれています(例:06 2019 …は2019年6月末日)[3]。これはヒルズ製品の読み方です。他社の読み方は確認していません。年月までは必須、日は任意と、協議会は説明しています[2]。
ドライフードの保存|場所・容器・冷蔵庫の注意
開封後の基本:封をして、涼しく乾いた常温の場所へ
環境省のガイドラインは、開封後のドライフードについて、次のように示しています[1]。
| 項目 | 環境省の記述(要約) |
|---|---|
| 封 | 袋の封をしっかりする |
| 場所 | 直射日光が当たらず、温度や湿度が低い場所 |
| 冷蔵庫 | 出し入れの際に表面に結露を生じ、カビ等の原因になることがあるので、常温で保存 |
| 期間 | 使用期限の目安は開封後約1か月(ドライ・ソフトドライ)。なるべく早く使い切れるよう、犬の大きさに合ったサイズを選ぶ |
未開封でも、直射日光が当たらず、温度変化の少ない場所で保存して、賞味期限内に使い切るよう環境省は呼びかけています[1]。
温度と置き場所:ヒルズ(日本のメーカー)の目安
- 湿気の少ない涼しい場所(38℃以下)で保存。ビタミンの破壊や、脂質の酸化によるダメージを防げる
- ガレージなど屋外・温度管理のない場所はすすめない。特に48℃を超える環境に48時間以上置くと、劣化やビタミンの破壊が早まる
- 虫やネズミの害を避けるため、袋を床から離して置く
出典:ヒルズ公式の保存方法の解説[3]。メーカーの解説で、公的機関の資料ではありません。
容器に移し替える?袋のまま?
ヒルズは、各種のプラスチック容器(ゴミ箱型、ジッパー付き袋、ビニール袋、シリコン・プラスチック容器、バケツ型容器など)で保存した状態を調べたところ、容器のにおいや味が移り、風味が損なわれる場合があることがわかったと説明しています。ジッパー付き袋なども、袋の外側に脂肪分が染みて付着するのを防げないとのことです[3]。
| 保存の仕方 | ヒルズの説明 |
|---|---|
| 元の袋のまま、封を閉じる | パッケージは脂質の浸透を防ぐ。そのまま保存すると最も良い状態で風味を保てる |
| プラスチック容器を使う | 元の袋のまま容器に入れることをすすめる |
| 清潔な金属製容器(小さな缶など) | かまわない |
袋から容器へ直接移し替えて長期保存する方法の是非は、ヒルズの調査結果が示す方向性ですが、他のメーカーが同じ見解かは確認していません。
ボウルに出したあと・食べ残しの扱い
環境省は、ドライフードは比較的長期間保存できる利点がありますが、フードボウルに出した場合は、時間とともに香りや食感が失われると説明しています。また、犬が一度口をつけたものは、唾液などがついているため、有害な微生物が発生することもあるので、できるだけ少量ずつ出して、新しいものに取り替えるよう呼びかけています[1]。
ヒルズも、お皿に出したドライは時間の決まりはないが徐々に風味が落ちるので、毎日お皿を洗い、新しいフードを入れることをすすめています[3]。環境省は、食器・器具の衛生面にも気をつけ、使い終わったら洗って乾燥させ、清潔な場所に保管するよう呼びかけています[1]。
ポイント:食べ残しを「袋に戻さない」
口をつけたフードを袋に戻すと、袋全体に唾液などが広がるおそれがあります。環境省は、一度口をつけたものは新しいものに取り替えるよう勧めています[1]。袋に戻すこと自体を直接扱った資料は確認していませんが、同じ考え方から、戻さずに処分するのが無難です(筆者の判断です)。
ウェット・缶詰・手作りの保存|ドライより傷みが早い
| タイプ | 保存・使い切りの目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 未開封の缶詰・レトルト | 直射日光が当たらず温度変化の少ない場所。賞味期限内に使い切る | [1] |
| 開封後(余ったとき) | 使用期限の目安は開封後1日。別の容器に移して冷蔵庫で保管し、その日のうちに使い切る。1日以上なら冷凍して、与える際に解凍する方法も可能だが、食味等を損なう場合がある | [1] |
| ボウルに出した後 | 酸化・腐敗・微生物の繁殖が、ドライより早い。出しっぱなしを避け、給与時間は20分程度が目安 | [1] |
| ヒルズの缶詰(開封後) | 冷蔵保存し2〜3日以内に使い切る。ボウルに出した分は2時間以内に食べ切る | [3] |
環境省は、ウェットフード(缶詰・レトルトなど)の使用期限の目安を開封後1日とし、開封したらすぐに与えるよう示しています[1]。なお、セミモイストフード(半生タイプなど)は開封後2週間程度で、冷蔵保存とされています[1]。使い切りの日数は、資料で幅があります(環境省は「開封後1日・その日のうちに」、ヒルズ製品は「2〜3日以内」)。短い方に合わせるのが無難です(筆者の判断です)。
メーカー公式の説明の例(いなばペットフードのよくあるご質問より):缶詰・パウチの保管
- 保管:缶詰やパウチ(ちゅ~るを含む)は、直射日光を避けて常温で保管。夏場に気温が上がっても、常温保管は可能としています。車内に放置してしまったときは、短時間なら問題ないが、長時間、高温下にさらされると、中身の品質に影響が出る場合があると注意しています[4]。
- 開封後:なるべく早く使い切る。余ったときは、他の容器に移し替えて冷蔵庫に入れ、翌日中を目安に利用する[4]。
- 賞味期限:缶詰やレトルト製品は、賞味期限が切れてすぐに食べられなくなることはないが、同社の保証の対象外になる、としています。月までの表記は、記載された月の末日まで利用できます(例:2026.5は2026年5月31日まで)[4]。
開封後の日数は、環境省(開封後1日・その日のうちに)、ヒルズ(缶は2〜3日以内)、いなばペットフード(翌日中)と、資料によって幅があります。短い方に合わせるのが無難です(筆者の判断です)。これは、いなばペットフード(フードメーカー)の公式サイトの記述で、公的機関の資料ではありません。ドライフードの保存は、この記述の対象外です。
大容量を買うときの考え方|割安さより「使い切れるか」
ドライフードの開封後の期限:環境省は「約1か月」
環境省は、ドライフード・ソフトドライフードの使用期限の目安を開封後約1か月と示しています[1](袋をしっかり閉じ、直射日光が当たらない、温度・湿度が低い場所で保存した場合の目安として書かれています)。ヒルズは、ドライの開封後の使い切り日数は示していません[3]。協議会が定めるのは、未開封・定められた方法で保管した場合の賞味期限です[2]。
この「約1か月」は目安です。日数に頼るだけでなく、袋の表示・においや見た目・食べ具合で判断し、迷ったら使い切る前に処分してください。
量の目安を、自分の犬で計算してみる
環境省は、犬の大きさに合ったサイズを選ぶよう勧めています[1]。目安は、袋の内容量 ÷ 1日の給与量 = 使い切るまでの日数です。
| 1日の給与量(例) | 1kg袋 | 3kg袋 | 7kg袋 |
|---|---|---|---|
| 50g | 約20日 | 約60日 | 約140日 |
| 100g | 約10日 | 約30日 | 約70日 |
| 250g | 約4日 | 約12日 | 約28日 |
※単純な割り算の計算例で、資料にある数字ではありません。愛犬の給与量はドッグフードの給餌量の計算方法で確認できます。
この表から、小型犬(1日50g前後)に7kgを買うと、使い切るまで約5か月かかる計算になります。環境省の「開封後約1か月」「なるべく早く使い切る」と合わないので、大容量が向くのは、1日の給与量が多い(大型犬・多頭飼い)家庭と考えるのが自然です(筆者の判断です)。
大容量を買うなら
- 1日の給与量から、使い切る日数を先に計算する
- 賞味期限が、使い切る日数より十分先かを確認する(賞味期限は未開封の期限)[2]
- 置き場所を決める(床から離す、直射日光・高温を避ける)[3]
- 袋の封を毎回しっかり閉じる[1]
- 多頭飼いなら、フードの種類(成長段階)ごとに袋を分ける(犬の総合栄養食とは?)
小分けにして保存する方法の是非は、今回の資料では直接確認していません。ヒルズの「元の袋のまま」という説明と矛盾しないよう、小分けにする場合は、清潔な金属製容器か、元の小袋のままが無難です(筆者の判断です)。
ドッグフードの保存:よくある質問
Q. 冷蔵庫・冷凍庫で保存してもいいですか?
ドライフードの冷蔵は、出し入れの結露でカビの原因になることがあるため、環境省は常温保存をすすめています[1]。ドライフードを冷凍する方法については、今回の資料では確認できていません。缶詰・レトルトの余りは、冷蔵が基本です[1][3]。
Q. ジッパー付きの保存袋に入れ替えていいですか?
ヒルズは、ジッパー付きなどのビニール袋は、袋の外側に脂肪分が染みて付着することを防げないとしています[3]。元の袋の封をしっかり閉じるのが基本です[1]。
Q. 賞味期限が切れたフードは、すぐ捨てるべきですか?
協議会は、賞味期限は余裕をもって設定すると説明しています[2]。ただし、期限を過ぎた後の安全性を保証する資料ではなく、保存条件が悪いと期限内でも品質が悪くなることもあります[1]。期限切れのフードを与え続けてよいかは、資料から判断できませんので、与えない方が無難です(筆者の判断です)。
Q. 開封後のドライフードは、何日もちますか?
環境省は、ドライフード・ソフトドライフードの使用期限の目安を開封後約1か月と示し、なるべく早く使い切るよう呼びかけています[1]。使い切れる量を買うことと、保存場所を守ることが大切です。
Q. 夏場、車の中やベランダに置いてもいいですか?
ヒルズは、屋外など温度管理されていない環境での保存はすすめず、48℃を超える環境に48時間以上置くと、劣化やビタミンの破壊が早まるとしています[3]。環境省も、未開封であっても温度変化の少ない場所に保存するよう呼びかけています[1]。
Q. 食べなくなったのは、フードが古いから?
環境省は、ボウルに出した後は時間とともに香りや食感が失われると説明しています[1]。ただ、食べない原因は体調や環境など多岐にわたります。原因別の考え方は犬がドッグフードを食べない原因を、フードの切り替えはドッグフードの切り替え方をご覧ください。
まとめ|封をして、涼しい常温で、使い切れる量を
- 賞味期限は未開封・定められた方法で保管した場合の期限。開封後の期限ではない
- ドライは、封をしっかり閉じ、直射日光を避け、温度・湿度の低い常温で。冷蔵庫は結露でカビの原因になることがある(環境省)
- ヒルズは38℃以下・床から離す・元の袋のまま(容器に入れるなら袋ごと)と説明
- ボウルに出したものは、風味が落ち、口をつけたものは微生物の心配も。少量ずつ出して取り替える
- ウェット・缶詰・手作りは傷みが早い。開封後は冷蔵、給与時間は20分程度
- 大容量は「袋の量 ÷ 1日の給与量」で使い切る日数を計算してから。異常があれば与えず、体調が悪ければ受診
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本文の[1]〜[3]をクリックすると、下の番号にジャンプします。各項目から、元の資料に移動できます。
- 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」(2018年版)第3章「ペットフードの保存方法」(取り扱い一般、ドライ・セミモイスト・ウェットの使用期限の目安と保存のしかた) 第3章(PDF)
- ペットフード公正取引協議会「表示の基礎知識 06.賞味期限について」(賞味期限の定義、保管方法の記載、記載方法) pffta.org(ペットフード業界の自主団体の解説です。公的機関の資料ではありません)
- ヒルズ(日本ヒルズ・コルゲート)「ペットフードの保存方法に関するアドバイス」(2023年12月8日。保存温度、容器、食べ残し、缶詰の保存、賞味期限の読み方)。hills.co.jp(フードメーカーの公式ページです。公的機関の資料ではありません)
- いなばペットフード株式会社「よくあるご質問」(総合栄養食・おやつ・総合栄養食タイプの定義、ちゅ~るの与え方と上限、缶詰・パウチの保管、賞味期限) inaba-petfood.co.jp(フードメーカーの公式ページです。公的機関の資料ではありません)
- ドライフードの冷凍保存、小分け保存の是非、食べ残しを袋に戻すことの影響、期限切れフードの安全性は、今回確認できていません
- 環境省のガイドラインは2018年に改訂されています。この記事は現行の2018年版(第3章)に基づきます。手作りフードの保存については、現行版には記述がないため、この記事では扱っていません
- ヒルズの温度(38℃以下、48℃・48時間)、容器の調査結果、賞味期限の読み方、缶詰の2〜3日・2時間は、同社の見解・製品の話で、他社が同じかは確認していません
- 使い切り日数の表は「袋の量÷1日の給与量」の計算例で、資料にある数字ではありません。「大容量が向くのは給与量が多い家庭」「短い方の日数に合わせる」「食べ残しは戻さず処分」「小分けは金属容器か元の袋で」は筆者の判断です
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この記事を書いた人
大手ペットフードメーカーでEC(通販)の責任者を務めている運営者が、公的な資料や業界団体・メーカー公式の資料をもとにまとめました。社名や特定の商品をすすめる目的ではありません。健康に不安があるときは、かかりつけの動物病院に相談してください。