ドッグフードの原材料・成分の見方は?表示のルールと選び方の基準

ドッグフードの原材料・成分の見方は?表示のルールと選び方の基準

「ドッグフードの袋を見ても、原材料が長くて何が良いのかわからない」
「『原材料 危険』と検索すると怖い話ばかり出てくる…」
「粗たんぱく質って、多いほうがいいの?」

結論から言います。ドッグフードの袋は、①目的(総合栄養食か)→②成長段階→③原材料の順番→④成分→⑤賞味期限と事業者の順に見れば、迷いません。しかも、原材料の表示ルールを知っておくと、「危険」という言葉に振り回されなくなります。

この記事では、ペットフード公正取引協議会の表示ルール(公正競争規約)と、環境省のガイドライン[2]をもとに、袋の読み方を順番に説明します。成分の「乾物換算」の計算まで入れたので、2つのフードを数字で比べたい人にも役立ちます。

この記事でわかること(順番に説明します)

  1. 袋の表示で必ず確認する項目の一覧
  2. 「総合栄養食」とそれ以外(間食・一般食・療法食)の違い
  3. 原材料欄の読み方(順番・「チキン」と書ける条件・添加物)
  4. 成分表の読み方と、乾物換算の計算
  5. 「危険」と言われる原材料との付き合い方
  6. 袋を見たあとのチェックリスト

ドッグフードの袋で必ず見る項目|一覧表で全体像をつかむ

袋には何が書かれているのか

ペットフードの表示は、ペットフード公正取引協議会[1]の「公正競争規約」で、次の項目を日本語ではっきり書くことが決められています。このうち、ペットフード安全法でも義務なのは名称・賞味期限・原材料名・原産国名・事業者名と住所の5つです。

項目書かれていること見るポイント
名称商品名と、犬用か猫用かの別犬用か確認
目的総合栄養食/間食/療法食/その他の目的食主食なら「総合栄養食」
内容量正味量(g・kgなど)食べ切れる量か
与え方目的・年齢・体重ごとの1日の量と回数体重に合う量
賞味期限数字で書かれた期限買うときに必ず確認
成分たんぱく質・脂質・粗繊維・灰分・水分(%)「以上」「以下」の意味に注意
原材料名添加物も含めて全て多い順に並んでいる
原産国名最終の加工工程を終えた国原料の産地とは別の意味
事業者名と住所製造・輸入・販売の別と、事業者名・住所問い合わせ先の確認

この一覧に「カロリー」という項目は入っていません。カロリーを書いているフードもありますが、書き方はメーカーごとに違います。食べさせる量を決めるときは、袋の「与え方」の表を見るのが基本です。

「総合栄養食」とは?間食・一般食・療法食との違い

ステップ1:まず「目的」で、主食になるかを見る

最初に確認するのは、目的です。規約では、次の4つのどれかを書くことになっています。

目的意味
総合栄養食「毎日の主要な食事」として与えるフード。新鮮な水と一緒に与えるだけで、その成長段階の健康を維持できるように、栄養がバランスよく調整されている
間食おやつやごほうび。ジャーキーやガムなど
療法食獣医師が病気の治療で使う、栄養を調整したフード。「必ず獣医師の指導のもとで」と書かれている
その他の目的食特定の栄養の調整、カロリー補給、嗜好性アップなど。「一般食」「栄養補完食」「副食」など。総合栄養食ではないので、一緒に与える内容や量が書かれている

つまり、毎日のごはんとして1種類だけを与えるなら、「総合栄養食」と書かれたものを選びます。「一般食」や「副食」と書かれたものだけで過ごすと、栄養が足りなくなる可能性があります。

ステップ2:成長段階の表示が愛犬に合っているか

総合栄養食には、適した成長段階が必ず書かれています。哺乳期、幼犬期(成長期)、成犬期(維持期)、妊娠・授乳期、そして「全成長段階(オールステージ)」です。

これが大事な理由を、環境省のガイドライン[2]は次のように説明しています。成長期用のフードは成犬用より、同じ食事量でも多くのエネルギーや成長に必要な栄養がとれるように作られています。成犬用を子犬にあげると栄養不足に、子犬用を成犬にあげ続けるとエネルギー過剰で肥満になります。なお、改訂前の版には、カルシウムが多めの小型犬用フードを成長期の大型犬に与えないよう注意する記述もありました(現行の2018年版にはありません)。

ここがポイント:「どのフードが一番いいか」の前に、「総合栄養食」で「愛犬の成長段階に合っている」ことが出発点です。この2つを満たしたもの同士で、原材料や好みを比べていきます。

ドッグフードの原材料の見方|順番・「チキン」の条件・添加物のルール

原材料は「使用量の多い順」に並んでいる

規約では、添加物以外の原材料を、使用量の多い順に書き、そのあとに添加物を書くことになっています。たとえば「肉類、穀類、油脂類、…、添加物」と並んでいたら、肉類が最も多く、穀類が次に多い、という意味です。

ただし、注意が2つあります。

  • 具体的な量(%)は書かれていません。1番目が90%なのか40%なのかは、表示だけではわかりません。
  • 「肉類」などの分類名で書くことも認められています。どの動物の肉かまでは、書かれないことがあります。

「チキン」「ビーフ」と書けるのは、5%以上使っているとき

規約では、「ビーフ」「チキン」「まぐろ」など特定の原材料を、ペットフードの内容量の5%以上使っている場合でなければ、商品名や絵、写真、説明文で「その原材料を使っている」と表示してはいけないことになっています。

これを逆に読むと、パッケージの写真やイラストに載っている素材が、必ずしも主な原材料とは限らないということです。5%でも書けるので、「チキン」の文字や写真だけで、中身の中心がチキンだと決めつけないほうが安全です。原材料欄の順番で確かめましょう。

添加物は、用途名も一緒に書かれる

添加物は、原材料とは分けて書きます。さらに、甘味料・着色料・保存料・増粘安定剤・酸化防止剤・発色剤として使うものは、その用途名もあわせて書くことが決められています(例:「酸化防止剤(ビタミンE)」のような書き方)。

つまり、添加物の名前の前に「着色料」「保存料」「酸化防止剤」と書いてあれば、何のために入っているかが読み取れます。気になる場合は、この用途名を探してみてください。

成分表の見方|「以上」「以下」と、乾物換算の計算

成分の5項目と、「以上・以下」の意味

成分は、たんぱく質・脂質・粗繊維・灰分・水分を、重量の%で書くことになっています。数字には「以上」か「以下」がつきます。

たとえば「たんぱく質 22%以上」なら、少なくとも22%入っているという意味で、実際はそれより多いこともあります。「水分 10%以下」なら、水分が10%を超えないという意味です。成分値は、おおよその数字だと考えてください。

ドライとウエットは、そのままでは比べられない

成分の%は、袋に入っている状態での割合です。水分の多いウエットフードと、水分の少ないドライフードでは、同じ「たんぱく質10%」でも中身が全く違います。比べるときは、水分を除いた状態(乾物)に直します。

乾物換算の計算式
乾物のたんぱく質(%)= たんぱく質(%)÷(100 − 水分(%))× 100
フード表示のたんぱく質表示の水分乾物換算
ドライ(例)22%10%22 ÷ 90 × 100 = 約24.4%
ウエット(例)8%80%8 ÷ 20 × 100 = 40%

※数字は計算の説明用の例で、特定の商品ではありません。

この例では、表示は「ドライ22%」と「ウエット8%」で、ドライのほうが多く見えます。でも、水分を除くと、ウエットのほうがたんぱく質の割合は高い、ということになります。2つのフードを数字で比べるときだけ、この計算を使ってください。

「たんぱく質は多いほどいい」わけではない

たんぱく質や脂質の数字が高いほど良い、とは言い切れません。必要な量は、犬の年齢・体格・運動量で違うからです。総合栄養食で、愛犬の成長段階に合っているものであれば、基本の栄養バランスは、基準に沿って設計されています。数字の比べすぎには注意してください。

「原材料が危険」と言われる理由は?表示だけで良し悪しは決まらない

検索すると出てくる「危険」の正体

「ドッグフード 原材料 危険」と検索すると、いろいろな原材料が悪者として挙げられています。でも、原材料の名前だけで、そのフードが安全か危険かを決めることはできません。理由は3つです。

  1. 袋の表示には、原材料の量も、品質も、加工の方法も書かれていない
  2. 犬の体質には個体差があり、同じ原材料でも、合う犬と合わない犬がいる
  3. 規約は、競争相手のフードを、科学的な根拠なく「安全ではない」「危ない」「病気になりやすい」「有害」と表現することを、不当な表示として禁じている

つまり、「危険」と強く言い切っている情報は、根拠まで確認する必要があります。販売サイトや比較サイトの宣伝として書かれていることもあるからです。

とうもろこし・米・肉副産物は、悪いものなのか?

よく話題になる原材料について、表示から言えることだけを整理します。

原材料表示から言えること確認してほしいこと
とうもろこし・米などの穀類原材料欄の何番目にあるかで、使用量の多さがわかる愛犬が食べてお腹の調子・皮膚・うんちが安定しているか。アレルギーが疑われるなら獣医師へ
「肉類」「副産物」などの分類名分類名での表示も認められている。具体的な種類や部位までは、表示から読めないことがある気になる場合は、袋の事業者名・住所を見て、メーカーに問い合わせる
添加物用途名(酸化防止剤など)が書かれる用途名を確認し、気になる場合はメーカーに理由を聞く

どの原材料が良い、悪いという答えは、ここでは出しません。表示でわかることと、わからないことを分けて、わからないことはメーカーに聞いたり、獣医師に相談したりするのが、正しい使い方です。

「プレミアム」「ヒューマングレード」は何が違う?

環境省のガイドライン[2]によると(改訂前の版の記述で、現行の2018年版にはありません)、「プレミアム・フード」の定義は必ずしも決まっておらず、一般的には、消化性やアミノ酸バランスが優れた原料を使っている、尿路結石や毛玉の抑制、関節の保護、老化の防止などに有効と思われる機能を持つ原料を使っているなど、通常のフードと差別化を図った製品群を指す、とされています。

つまり、「プレミアム」と書いてあっても、共通の基準があるわけではありません。言葉の印象ではなく、目的の表示・成長段階・原材料の順番で判断しましょう。

袋を見たあとのチェックリスト|買う前の5分でできること

購入前に確認する順番

順確認すること合格の目安
1犬用か名称に「犬用」とある
2目的主食なら「総合栄養食」
3成長段階愛犬の年齢に合う、またはオールステージ
4原材料の最初の数個何が多く使われているか把握した
5アレルギーがある場合の原材料獣医師に言われた原材料が入っていない
6賞味期限・内容量開封後に食べ切れる量
7事業者名と住所問い合わせ先が書かれている

フードを変えるときは、ドッグフードの切り替え方の記事も参考にしてください。1〜2週間かけて少しずつ混ぜるのが基本です。

ドッグフードの表示でよくある質問

Q. 「総合栄養食」と書いてあれば、どれを選んでも同じ?

主食としての条件は満たしていますが、原材料、形(ドライ・ウエット)、粒の大きさ、味は違います。愛犬が喜んで食べ、うんちと体重が安定しているかで選んでください。

Q. 猫に犬用フードをあげても大丈夫?

環境省のガイドライン[2]では、犬と猫は必要な栄養素が違い、たまたま食べてしまう程度なら問題が出にくいが、長期的には特定の栄養素の過剰や不足から健康上の問題が出る可能性があるとしています。頻繁に食べてしまうなら、食事の時間や場所を分けましょう。猫用フードの見方はキャットフードの原材料・成分の見方で説明しています。

Q. サプリメントは必要?

環境省のガイドラインでは、サプリメントは栄養補助食で、本来、総合栄養食を与えている場合は栄養分の不足はおこりにくいとされています。複数の健康補助食品を使うときは悪影響が出ることがあるので、獣医師に相談した上で与えましょう(人用のサプリメントには、犬や猫に毒性を示すものもあります)。特にカルシウムは、成長期の大型犬に過剰に与えると、骨の異常につながることがあるため注意が必要です(改訂前の版の記述で、現行の2018年版にはありません)。

まとめ|袋は「目的→成長段階→原材料→成分」の順に読む

  • 毎日のごはんは「総合栄養食」で、愛犬の成長段階に合ったものを選ぶ
  • 原材料は、添加物以外が使用量の多い順。「チキン」と書けるのは5%以上使っているとき
  • 添加物は、保存料・酸化防止剤などの用途名も一緒に書かれる
  • 成分は「以上・以下」のおおよその数字。ドライとウエットを比べるときは、乾物換算
  • 「危険」という言葉だけで判断せず、表示でわかることとわからないことを分ける

あわせて読みたい

この記事の参考情報

本文中の [1] [2] などの数字は、この一覧へのリンクです。一覧の各項目から、元の資料へ移動できます。

  1. ペットフード公正取引協議会「公正競争規約に基づく必要表示事項及び表示制限について」pffta.org(必要表示事項・目的の定義・特定用語の使用基準・不当表示の例)
  2. 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」(2018年版)(犬猫の違い・ライフステージ・サプリメント)第5章 Q&A(PDF)。改訂前の版(プレミアムの定義・カルシウムの注意の記述あり)Q&A(PDF)
  • 環境省のガイドラインは2018年に改訂されています。[2]の最初のリンクが現行の2018年版です。「プレミアム」の定義とカルシウムの注意は改訂前の版の内容で、現行版には記述がありません
  • 乾物換算の計算は、一般的な計算方法です。例の数字は説明用で、特定の商品ではありません
  • 各原材料の安全性・品質の評価は、公的な資料では確認していないため、この記事では行っていません

この記事を書いた人

大手ペットフードメーカーでEC(通販)の責任者を務めている運営者が、公的な資料をもとにまとめました。社名や特定の商品をすすめる目的ではありません。健康に不安があるときは、かかりつけの動物病院に相談してください。