犬のごはん

犬がドッグフードを食べない原因は?様子見の目安と食べさせる工夫

犬がドッグフードを食べない原因は?様子見の目安と食べさせる工夫

「昨日から、ごはんを全然食べてくれない…」
「元気はあるけど、ドッグフードだけ残す」
「このまま様子を見ていいの? それとも病院?」

結論から言います。元気があり、水を飲み、うんちも普通なら、まず半日〜1日ほど様子を見て、量・おやつ・環境を見直すのが基本です。ただし、吐く・下痢・ぐったりしている・血が混じる、といった症状があれば、すぐ動物病院へ行ってください。環境省のガイドライン[1]も、正常な犬でもフードを1〜2日食べないことはあるが、積極的に食べない場合は病気の前兆と考えてよい、としています。

この記事では、病院に行く目安を先に表にまとめたうえで、食べない原因の切り分け方、「本当に食べていないのか」を確かめる計算方法、食べてもらうための工夫を、順番に説明します。

先に確認:こんなときは様子見せず、すぐ動物病院へ

  • うんちや吐いたものに血や粘液が混じる
  • 何度も吐く、数日間吐くことをくり返す
  • ぐったりしている、震える、暗がりに隠れて出てこない
  • お腹が膨れていて、触ると痛がる
  • おもちゃ・ティッシュなどを飲み込んだ心当たりがある
  • 熱がある(環境省によると、犬の正常な体温は38.0〜39.0℃)
  • 子犬で、ごはんを2回続けて食べない、または12時間以上食べない

迷ったときは、かかりつけの動物病院に電話で相談してください。

この記事の読み方(順番に説明します)

  1. 何日まで様子見していいか(目安の表)
  2. 食べない原因を切り分ける(7つの表)
  3. 「本当に食べていない?」を確かめる(量の計算と体型チェック)
  4. 食べてもらうための工夫(順番に試す)
  5. やってはいけないこと
  6. よくある質問

犬がドッグフードを食べないとき、何日まで様子見していい?

様子見の目安を表で確認

状況対応の目安
元気がある・水は飲む・うんちも普通。少しは食べる半日〜1日、様子を見る。その間に、量・おやつ・環境を見直す
元気はあるが、丸1日以上ほとんど食べない病気の初期の可能性もあるので、動物病院に相談する
2日以上、積極的に食べない環境省ガイドライン[1]では「病気の前兆と考えてよい」。受診する
水も飲まない・吐く・下痢・ぐったりすぐ受診(上の赤いボックスを参照)
子犬(特に小型犬)2回続けて食べない、または12時間以上食べないときは、獣医師に相談(ロイヤルカナンの解説[2])

※「半日〜1日」「丸1日」の区切りは、公的資料ではなく、動物病院や獣医師が書いた一般的な解説にもとづく目安です。環境省ガイドラインに書かれているのは、「正常な犬でもフードを1〜2日間食べない個体もいるが、積極的に食べない場合には病気の前兆と考えてよい」という点です。

なぜ「様子を見すぎてはいけない」のか

犬は、体調が悪くても言葉で伝えられません。環境省のガイドラインは、日ごろの行動をよく観察しておくことで病気の前兆に気づけること、早めに獣医師に診てもらうことで悪化を防げることを挙げています。「食欲がない」は、気づきやすい、体調のサインのひとつです。

子犬は特に注意が必要です。ロイヤルカナンの解説では、長時間食べないと低血糖になりやすいこと、小型犬は大型犬より代謝が早いので低血糖になりやすいことを挙げています。子犬は脂肪のたくわえが少ないので、フードからのエネルギーが大切です。

犬がドッグフードを食べない原因は?7つに切り分ける

原因の一覧表

食べない原因は、大きく「体の問題」と「食事・環境の問題」に分けられます。まず、体の問題がないかを確認してください。

原因こんな様子まずやること
①病気・体調不良急に食べなくなった。吐く・下痢・元気がない。毛にツヤがない動物病院へ。自己判断で様子を見すぎない
②口や歯の痛み食べようとするが、途中でやめる。口を気にする。硬いものを避ける動物病院で口の中を診てもらう
③誤飲・誤食吐く。お腹を痛がる。心当たりがあるすぐ動物病院へ(何を飲んだか伝える)
④暑さ・夏バテ暑い時期に食欲が落ちる。ハァハァしている室温と水を確認。ぐったりしていたら、すぐ受診
⑤年齢(シニア)少しずつ食べる量が減る。噛むのが大変そう食べやすい工夫。急に落ちたら受診
⑥量が多すぎる・おやつが多い元気で体型も普通。おやつや人の食べ物は食べる量の計算と体型チェック(次の見出し)
⑦フードが合わない・環境のストレスフードを変えてから食べない。音や人の気配が気になる切り替え手順の見直し。食事の場所を静かにする

①〜③は、病院に行くべきサインです。④〜⑤は、様子と症状の強さで判断します。⑥⑦は、食事と環境を整えると、食べるようになることが多い原因です。

⑥ 「食べない」は思い込みかも?量とおやつを見直す

環境省のガイドライン[1]は、犬が1日に必要なカロリーは体重や成長段階、活動量で変わるとしています。ごはんの袋にある給与量の目安は、あくまで目安です。定期的に体重をはかり、理想的な体型を維持できるよう、与える量を調節することをすすめています。

そのうえで、愛犬の必要カロリーを知る参考として、ガイドラインにあるカロリーの簡易式を使ってみましょう(体重2〜45kgの場合)。

1日のカロリー必要量の計算式(環境省・2018年版)
RER(安静時のエネルギー・kcal)= 体重(kg)× 30 + 70
1日の必要量(DER)= RER × 係数(犬の例:避妊去勢済みは1.6)
(環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」2018年版。係数は成長段階や活動量で変わるので、獣医師に相談してください)
体重1日のカロリーの計算例(RER×1.6)フード(例:100gあたり400kcal)の量
5kg約352kcal(環境省の計算例)約88g
10kg約592kcal約148g

※フードの量は、「カロリー ÷ 100gあたりのカロリー × 100」で計算した説明用の例です。実際のフードのカロリーは、袋の表示を確認してください。避妊・去勢の有無、運動量、年齢で必要な量は変わります。10kgの値は、環境省の式(体重×30+70、係数1.6)を当てはめた筆者の計算です。なお、改訂前の版では「132×体重の0.75乗」(5kgで約441kcal、10kgで約742kcal)という式でしたが、現行の2018年版は上の式です。

計算した量が、いま与えている量よりかなり少ないなら、「食べない」のではなく「食べ足りている」のかもしれません。

体型チェック:BCSで「痩せていないか」を見る

量を確認したら、体型も見てください。環境省のガイドラインは、犬の体型を、BCS(ボディコンディションスコア)という5段階で紹介しています。

BCS体型見た目・触った感じ(ガイドラインの要点)
1痩せ肋骨・腰椎・骨盤が外から容易に見える。触っても脂肪がわからない
2やや痩せ肋骨が容易に触れる。上から見て腰のくびれが顕著
3理想的過剰な脂肪がなく、肋骨が触れる。上から見て肋骨の後ろに腰のくびれがある
4やや肥満脂肪はやや多いが、肋骨は触れる。腰のくびれは顕著ではない
5肥満厚い脂肪で肋骨が触れない。腰のくびれはほとんど見られない

体型が「3」前後で元気なら、食べる量が少なくても、必要な量は足りている可能性があります。反対に、体重が減っている、体型が「2」「1」に近づいているときは、病気の可能性もあるので、動物病院に相談してください。

おやつ・人の食べ物があると、ごはんを食べなくなる

環境省の改訂前の版のガイドライン(現行の2018年版にはありません)によると、塩分や脂肪が多く、味の強いものを覚えると、さらに味の強いものを求めるようになることがあります。「フードに飽きた」ように見える背景に、家族の誰かが人の食べ物や味の強いおやつをあげていることがあります。

おやつは、犬とのコミュニケーションになる大切なものです。ただし、カロリー表示を確かめて、おやつをあげた分だけフードを減らすことが必要だと、ガイドラインは書いています。まず、家族みんなで「おやつの量」と「人の食べ物はあげない」ルールをそろえましょう。

暑い時期・シニア・子犬のときの注意

  • 暑い時期:夏バテで食欲が落ちることがあります。室内でも熱中症になることがあるので、室温と飲み水を確認してください。ぐったりしていたら、すぐ受診です。
  • シニア犬:加齢で、食べる量が少しずつ減ることがあります。環境省のガイドラインでは、シニアに入る時期の目安を、大型犬6〜7歳、小型犬8〜10歳くらいとしています。食欲が急に落ちたときは、年齢のせいにせず受診しましょう。
  • 子犬:歯が生えそろっていない、フードの硬さや大きさが合っていない、ごほうびを期待している、といった理由で食べないことがあります。ただし、2回続けて食べないなら獣医師に相談してください。

「わがまま」「老犬だから」「手作りなら食べる」と決める前に

  • 「わがまま」と決めつけない。好き嫌いに見えても、口の痛み、体調不良、おやつ、環境のストレスが原因のことがあります。食事のときに叱ると、食事そのものが嫌な記憶になることもあります。
  • 「老犬だから」とあきらめない。年を取ると、においを感じる力や、噛む力が落ちて、食べにくくなることがあるといわれています(公的資料では確認できていない一般的な説明です)。食器を食べやすい高さにする、フードの形状を見直すなど、工夫の余地があります。食欲が急に落ちたときは、受診が先です。
  • 「手作りなら食べる」ときは、栄養バランスを確認。食べてくれても、必要な栄養がそろっているかは、見た目ではわかりません。手作りに切り替える前に、かかりつけの獣医師に相談してください。

「いつ病院に行けばいいの?」と迷ったら、この記事の冒頭の赤いボックスと、様子見の目安の表に戻って確認してください。迷うときは、早めの相談が安心です。

犬がドッグフードを食べてくれない時の対処法|順番に試す

病気ではなさそう…そのときの試す順番

順やること理由
1おやつ・人の食べ物を減らす(フードと同じカロリーで計算)おやつのほうが魅力的だと、ごはんを待つようになる
2食事の時間を決めて、食べなかったら片付ける。次の食事まで待つ環境省ガイドライン[1]も「次の食餌時間まで放っておく」方法を紹介
3静かな場所で食べさせる。ほかの犬や人の気配を減らす音や気配が気になる犬がいる
4犬用のトッピングやふりかけを、少量混ぜる環境省ガイドラインも、一つの方法として紹介
5ドライとウエットを試す。同じ栄養組成で味違いをローテーションする環境省の改訂前の版が、飽きやすい犬への方法として紹介
6それでもダメなら、動物病院へ歯や体調に原因がないか確認する

※手順2の「食べなかったら片付ける」の細かい時間(出しっぱなしにしない)や、ぬるま湯で香りを立たせる方法は、公的資料では確認できていない一般的なコツです。子犬・シニア・持病のある犬には、無理に試さず、獣医師に相談してください。

フードを変えるときは「少しずつ」

食べないからといって、あわてて別のフードに全部変えるのは、おすすめしません。環境省のガイドラインは、食べ慣れていないフードに急に切り替えると、吐いたり下痢をしたりすることがあるとしています。変えるなら、今のフードに新しいフードを混ぜて、犬の状態を見ながら1〜2週間かけて増やします。割合の表とグラム計算は、ドッグフードの切り替え方で説明しています。

フードを選び直すときは、袋の「目的」と「成長段階」の表示を確認してください。見方は、ドッグフードの原材料・成分の見方にまとめています。

犬がごはんを食べないときに、やってはいけないこと

  • おやつをごはん代わりにする。おやつだけでは栄養が足りなくなります。
  • 人の食べ物をあげて、食べさせようとする。味の強いものを覚えて、さらに食べなくなることがあります(環境省の改訂前の版のガイドライン[1])。
  • フードを次々に変える。どれが合うのか分からなくなり、切り替えで下痢を起こすおそれもあります。
  • 無理に口に入れる。誤嚥の危険があり、食事が嫌な記憶になることもあります。
  • 自己判断でサプリや薬を与える。環境省のガイドラインは、総合栄養食を与えている場合は栄養の不足はおこりにくいとし、複数の健康補助食品を使うときは悪影響が出ることがあるので獣医師に相談するよう案内しています。
  • 2日以上食べないのに、様子を見続ける。

犬がドッグフードを食べない:よくある質問

Q. 犬は何日食べなくても大丈夫?

環境省のガイドライン[1]では、正常な犬でもフードを1〜2日食べない個体はいるとされています。ただし、「大丈夫」は、元気があって、水を飲み、吐く・下痢などがない場合の話です。2日以上積極的に食べないときは、病気の前兆と考えて受診してください。子犬は、もっと早く(2回続けて食べない、または12時間以上)相談します。

Q. おやつは食べるのに、ごはんは食べないのはなぜ?

おやつのほうが、味が強くて魅力的だからです。「待てばおやつがもらえる」と学んでいることもあります。おやつの量と回数を減らし、次の食事まで待ってみましょう。

Q. 水は飲むけど、フードを食べないときは?

水を飲み、元気もあるなら、半日〜1日ほど様子を見て、量・おやつ・環境を見直します。それでも食べないときや、水の飲み方が増減したときは、受診してください。

Q. フードを変えたら食べなくなった

切り替えが急だった可能性があります。いったん前のフードの割合を増やして、少しずつ新しいフードを増やし直してください。切り替えの手順はこちら。

Q. 食べるときと食べないときがあります

食べる量が日によって違うこと自体は、よくあります。体重と体型(BCS)が安定していて、元気なら、あまり心配しすぎなくて大丈夫です。体重が減ってきたときは、受診してください。

Q. 猫のごはんでも同じ?

猫は犬と必要な栄養素が違い、食べないことの危険性も異なる場合があります。猫の表示の見方はキャットフードの原材料・成分の見方で説明しています。この記事は、犬の場合の内容です。

まとめ|まず「受診の目安」を確認して、そのあとに食事と環境を見直す

  • 血が混じる・何度も吐く・ぐったり・誤飲の心当たりがあるときは、すぐ動物病院へ
  • 元気があり、水を飲み、うんちも普通なら、半日〜1日ほど様子を見る。2日以上積極的に食べないなら受診
  • 子犬は、2回続けて食べない、または12時間以上食べないときに、獣医師へ相談
  • 「食べない」が思い込みのこともある。必要カロリーの参考値と体型(BCS)で確認する
  • おやつ・人の食べ物を減らし、食事時間と場所を整える。フードを変えるときは、1〜2週間かけて少しずつ

あわせて読みたい

この記事の参考情報

本文中の [1] [2] などの数字は、この一覧へのリンクです。一覧の各項目から、元の資料へ移動できます。

  1. 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」(2018年版)(食欲がない場合の記述・日頃の体調管理/犬のカロリーの計算式と計算例/犬のBCSと体型/サプリメント/中高齢期に入る時期)第4章 体調管理(PDF)、第2章(PDF)、第5章 Q&A(PDF)。改訂前の版(味の強いものを覚えること・飽きる場合の工夫の記述あり)体調管理(PDF)、Q&A(PDF)
  2. ロイヤルカナン「子犬がごはんを食べない理由」(子犬は2回続けて食べない・12時間以上食べないときの注意)royalcanin.com(メーカーの解説です)
  • 環境省のガイドラインは2018年に改訂されています。上の[1]の最初のリンク群が現行の2018年版です。「味の強いものを覚える」「飽きる場合の工夫(ローテーション・トッピング)」は、改訂前の版の内容で、現行版には記述がありません。カロリーの式(体重×30+70)と、切り替えの期間(1〜2週間)は、現行版に合わせています
  • 「半日〜1日の様子見」「ぬるま湯で香りを立たせる」「食べなかったら片付ける時間の目安」などは、公的資料では確認できていない一般的な目安・コツです
  • フードの量の計算例は、説明用の数字で、特定の商品ではありません。実際のカロリーは袋の表示を確認してください
  • 病気の診断・治療は獣医師が行うものです。この記事は、診断をするものではありません

この記事を書いた人

大手ペットフードメーカーでEC(通販)の責任者を務めている運営者が、公的な資料をもとにまとめました。社名や特定の商品をすすめる目的ではありません。健康に不安があるときは、かかりつけの動物病院に相談してください。