
「うちの子、7歳になったけど、もうシニア用に変えた方がいい?」
「最近、食べる量が減った気がする」
「シニア用と普通のフード、何が違うの?」
結論から言います。猫のシニア期(中高齢期)は、環境省では約8〜10歳以降、ヒルズでは7歳以上とされています[1][2]。ただし、年齢はあくまで目安で、体重・食欲・持病を見ながら、獣医師に相談して決めるのが基本です[2]。フードを変えるときは、今のフードに混ぜながら、7〜10日(環境省は1〜2週間)かけて少しずつ切り替えます。
この記事では、シニア猫のフードを変える時期、体の変化、選び方の考え方、切り替えの手順、食べなくなったときの対処を、環境省のガイドラインとヒルズの解説をもとに整理します。
先に確認:こんなときは、フードの工夫より先に動物病院へ
- 24〜48時間以上、ほとんど食べていない
- ほとんど水を飲まない
- 嘔吐や下痢がある
- 急激に痩せた
絶食が続くと、体に蓄えられた脂肪が急速に肝臓へ運ばれ、「肝リピドーシス(脂肪肝)」という命に関わる肝障害を起こす危険があります。特に、肥満傾向のあった猫やシニア猫は、短期間の絶食でも起こりやすいとされています(ヒルズの解説)[2]。「もう少し様子を見よう」と放置しないでください。
この記事の読み方(順番に説明します)
- シニア猫は何歳から?(年齢の目安の表)
- 年齢とともに体に起きる変化
- フードの選び方(状態別の表)
- 1日のカロリーの目安
- 切り替えの手順(割合の表)
- 食べなくなったときの対処
- よくある質問
シニア猫のキャットフードはいつから?年齢の目安
7〜10歳が、シニア期の入り口
環境省のガイドライン(2018年版)は、中高齢期を約8〜10歳以降とし、年齢に合ったフードへは、急に切り替えず、猫の状態を見ながら1〜2週間かけて徐々に割合を増やすようすすめています[1]。ヒルズの解説も、猫は一般的に7歳以上で「シニア」「高齢」に分類されることが多い、としています[2]。
| 年齢 | 区分(ヒルズの解説) | 特徴 |
|---|---|---|
| 7〜10歳 | シニア期(人間の44〜56歳に相当) | 外見の変化は少ないが、運動量の低下で基礎代謝が落ち、太りやすい。定期的な健康診断を始めたい |
| 11〜14歳 | 高齢期(60〜72歳) | 被毛のツヤが減り、寝る時間が増える。慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症などのリスクが高まる |
| 15歳以上 | 超高齢期(76歳以上) | 筋肉量の減少、歯のトラブル、認知機能の変化。やわらかいフードや、少量を回数多く、などの工夫 |
ヒルズのフードは、「7歳以上」「11歳以上」「14歳以上」と区分されています。ただし、年齢はあくまでも目安なので、獣医師に相談して、健康状態に合うものを選ぶよう案内されています[2]。「7歳になったから、すぐ全部変える」必要はありません。
シニア猫の体に起きる変化と、食事との関係
| 変化 | 内容(ヒルズの解説) | 食事での考え方 |
|---|---|---|
| 消化機能の低下 | 消化酵素の分泌が減り、若い頃と同じフードでは栄養を十分にとれないことがある。特にたんぱく質と脂質の消化吸収効率が落ちやすい | 消化のよさに配慮して設計されたフードを選ぶ |
| 筋肉量と代謝の変化 | 筋肉量が減り、代謝も落ちる。7〜10歳頃は太りやすく、11〜12歳を超えると痩せやすい傾向 | 体重が増えるなら低カロリー、痩せてきたら栄養バランスが整ったフードと工夫 |
| 歯・口の問題 | 歯周病や口内炎の痛みで、食べたくても食べられないことがある | 小粒・ウェット・ふやかし。急に食べなくなったら受診 |
| 嗅覚・味覚の低下 | 猫は香りで食べ物を判断するので、嗅覚が落ちると反応しなくなることがある | ウェットを人肌に温めて、香りを立てる |
注意したいのは、同じ「シニア」でも、7〜10歳と11歳以上では、太りやすい・痩せやすいが逆になることです。年齢で一括りにせず、体重の増減を見て選びましょう[2]。
シニア猫のキャットフードの選び方|状態別の考え方
| 愛猫の状態 | 選ぶ方向(ヒルズの解説) | 注意 |
|---|---|---|
| 太り気味 | 必要な栄養を保ちながら、カロリーを抑えたフード | 減量は獣医師の指導のもとで。療法食を選ぶこともある |
| 痩せてきた | 栄養バランスが整ったフード。少しでも多く食べられるよう工夫 | 急な体重減少は病気のサインのことも。受診を |
| ドライを噛みにくそう | 小粒のフード、ウェット、ドライをぬるま湯でふやかす | 急に食べなくなったときは、口や内臓の病気の可能性 |
| 腎臓病などの持病がある | 獣医師の指示に従い、腎臓ケア用の療法食などを選ぶ | 自己判断で高たんぱくのフードを与えない。たんぱく質やリンのとりすぎが腎臓の負担になることがある |
たんぱく質は、高齢猫の筋肉・被毛・臓器を維持するために欠かせない栄養素です。健康なシニア猫には、高品質なたんぱく質が十分に含まれたフードが理想とされています。ただし、血液検査などで腎機能の低下を指摘されている場合は、獣医師の指示が先です[2]。
水分を多く含むウェットフードは、食事から水分をとりやすいので、腎臓の健康に配慮したい時期におすすめされています。こちらも自己判断せず、獣医師に相談のうえ選びます[2]。
袋の見方(「総合栄養食」の表示や、原材料・成分の読み方)は、キャットフードの原材料・成分の見方で説明しています。シニア向けをうたう商品でも、まず「総合栄養食」かどうか、「成長段階」の表示は何かを確認してください。
シニア猫の1日のカロリーの目安
環境省のガイドライン(2018年版)には、RER(体重×30+70)に係数をかける計算式があり、計算例は避妊去勢済みの猫で係数1.2(体重5kgで約264kcal)です[1]。改訂前の版にあった「40週齢以上の成猫は、活発な猫で80×体重、不活発な猫で70×体重」は、現行版には載っていません。
| 体重 | 安静時(RER) | RER×1.2(避妊去勢済みの例) |
|---|---|---|
| 3kg | 160kcal | 約192kcal |
| 4kg | 190kcal | 約228kcal |
| 5kg | 220kcal | 約264kcal(環境省の計算例) |
※係数1.2は、環境省が避妊去勢済みの猫の計算例に使った数字です。3kgと4kgは同じ式を当てはめた筆者の計算です。シニア猫専用の係数は、今回の資料では確認できていません。代謝や活動量には個体差があるので、あくまで目安です。フードのグラム数に直す計算は、給餌量の自動計算で試せます。そのうえで、体重と体型(BCS)の変化を見ながら調整してください。環境省のガイドラインも、給与量は目安であり、定期的に体重をはかって量を調節するようすすめています[1]。
シニア用への切り替え方|7〜10日、割合の表
新しいフードに急に変えると、食べなくなったり、下痢や嘔吐が起きたりします。環境省もヒルズも、今のフードに混ぜて、少しずつと案内しています。環境省は1〜2週間[1]、ヒルズは7〜10日です[2]。
| 日数 | 今のフード | 新しいフード |
|---|---|---|
| 1〜2日目 | 約75% | 約25% |
| 3〜4日目 | 約50% | 約50% |
| 5〜6日目 | 約25% | 約75% |
| 7日目以降 | 0% | 100% |
高齢の猫は、警戒心が強くなり、新しいフードを受け入れにくくなることがあります[2]。無理に切り替えようとせず、ペースを落としましょう。切り替えの考え方の全般は、子猫のキャットフードの選び方の切り替えの章や、犬の場合の切り替え方の記事も参考になります。
シニア猫が食べなくなったときの対処
食欲が落ちる4つの原因
| 原因 | 内容(ヒルズの解説) |
|---|---|
| 嗅覚・味覚の低下 | 香りで判断する猫は、嗅覚が落ちるとフードに反応しなくなる |
| 口の中のトラブル | 歯周病や口内炎の痛みで、食べたくても食べられない |
| 病気 | 体調不良や病気が原因で食欲が落ちる |
| ストレス | 引っ越しや家族の変化など、環境の変化 |
家庭でできる4つの工夫
ヒルズは、「温度・匂い・形状・与え方」の4点を工夫すると、食べられるようになることがある、としています[2]。
- ウェットフードを人肌程度に温めて、香りを立てる
- ドライフードをぬるま湯でふやかして、柔らかくする
- 1日の食事回数を3〜4回に分けて、少しずつ与える
- 食べやすい高さの食器台を使う
ただし、食べない状態が続くときは、家庭の工夫だけで様子を見続けず、動物病院に相談してください。猫が食べない原因と様子見の目安は、猫がキャットフードを食べない原因でも詳しく説明しています。
シニア猫のキャットフード:よくある質問
Q. 7歳になったら、必ずシニア用に変えるべきですか?
必ずではありません。年齢は目安で、体重・食欲・健康状態を見て、獣医師に相談して決めます[2]。7〜10歳は太りやすい時期なので、体重の変化に気をつけてください。
Q. シニア用と成猫用の違いは何ですか?
ヒルズの解説では、高齢猫向けのフードは、消化のよいたんぱく質を使い、粒の大きさや硬さに配慮しているものが多い、とされています[2]。ただし、製品ごとに設計は違い、一般化できる共通ルールは今回の資料では確認できていません。袋の表示と成分を見て選んでください。
Q. 腎臓の数値が高いと言われました。フードはどうすれば?
自己判断で変えず、獣医師の指示に従ってください。腎臓ケア用の療法食が推奨されることがあります[2]。
Q. 水を飲む量が少ないのですが?
ウェットフードは、食事から水分をとりやすいと紹介されています[2]。ほとんど水を飲まないときは、受診の目安に入ります。
Q. 体重が減ってきたのですが、年のせいでしょうか?
急激に痩せた場合は、受診の目安です[2]。「歳だから」と決めつけず、一度診てもらうと安心です。何%の減少で受診すべきか、といった具体的な数値は、この記事の資料では確認できていません。
Q. 犬と同じ考え方でいいですか?
猫は犬と必要な栄養素が違います。犬の場合は、シニア犬のドッグフードの記事をご覧ください。
まとめ|年齢は目安。体重・食欲を見て、少しずつ切り替える
- シニア期は約8〜10歳以降(環境省)、7歳以上(ヒルズ)。年齢は目安なので、獣医師に相談して決める
- 7〜10歳頃は太りやすく、11〜12歳を超えると痩せやすい傾向(ヒルズの解説)。体重の増減を見て選ぶ
- 腎臓病などの持病があるときは、自己判断で高たんぱくにしない。療法食は獣医師の指示で
- 切り替えは、今のフードに混ぜて7〜10日(環境省は1〜2週間)。変化があれば前の段階へ戻す
- 24〜48時間以上食べない、水を飲まない、嘔吐・下痢、急に痩せたときは、すぐ受診
あわせて読みたい
- 食いつきの良いキャットフードの選び方|猫が好む仕組みと失敗しない試し方
- 猫の毛玉ケアはキャットフードで変わる?ブラッシング・食事・吐くときの受診目安
- 猫がキャットフードを食べない原因は?様子見の目安と食いつきを良くする工夫
- キャットフードの原材料・成分の見方は?総合栄養食と表示のルール
- ドッグフードの給餌量の計算方法は?体重別の早見表と自動計算(猫も計算できます)
- 猫の総合栄養食とは?主食の条件と、一般食・おやつ・ウェットの使い分け
- キャットフードの大容量は買って大丈夫?保存方法・開封後の使い切りとウェットの扱い
- 猫の去勢・避妊後はフードを変える?太りやすさと量の見直し方
本文の[1][2]をクリックすると、下の番号にジャンプします。各項目から、元の資料に移動できます。
- 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」(2018年版)(中高齢期の目安・切り替えの方法/猫のカロリーの計算式と計算例/体重を測って量を調節する考え方)第2章(PDF)、第4章 体調管理(PDF)、第5章 Q&A(PDF)。2018年に改訂されており、改訂前の版の「猫の係数70・80」「7〜10歳」は現行版にはありません
- ヒルズペット「高齢猫・シニア猫のフード選びと食事管理|食べない時の対処法も解説【獣医師監修】」(年齢区分、体の変化、フード選び、切り替えの割合、食べない原因と工夫、受診の目安) hills.co.jp(メーカーの解説です)
- 環境省のカロリーの係数(避妊去勢済みの猫の例1.2)は、シニア専用の値ではありません。シニア猫専用の係数は、今回の資料では確認できていません
- シニア用と成猫用の栄養設計の共通の違い、体重減少の具体的な割合の目安、持病(腎臓病など)ごとの食事の詳細は、確認できていません
- ヒルズの解説は、自社製品を案内するメーカーのページです。この記事では、特定の商品をすすめていません
- 病気の診断・治療は獣医師が行うものです。この記事は、診断をするものではありません
この記事を書いた人
大手ペットフードメーカーでEC(通販)の責任者を務めている運営者が、公的な資料をもとにまとめました。社名や特定の商品をすすめる目的ではありません。健康に不安があるときは、かかりつけの動物病院に相談してください。