猫のごはん

猫がキャットフードを食べない原因は?様子見の目安と食いつきを良くする工夫

猫がキャットフードを食べない原因は?様子見の目安と食いつきを良くする工夫

「昨日から、キャットフードを全然食べてくれない…」
「ウェットは食べるのに、ドライは残す」
「このまま様子を見ていいの? それとも病院?」

結論から言います。成猫なら、元気があって水を飲み、吐く・下痢などがなければ、丸1日程度は様子を見てもよいとされています。ただし、子猫は半日、太り気味の猫や高齢の猫、持病のある猫は、もっと早めの受診が必要です。猫は、長く食べない状態が続くと、脂肪肝(肝リピドーシス)になるおそれもあります。迷ったときは、早めに動物病院へ相談してください。

この記事では、受診の目安を先に表にまとめたうえで、食べない原因の切り分け方、食いつきを良くする工夫、やってはいけないことを、順番に説明します。

先に確認:こんなときは様子見せず、動物病院へ

  • 元気がない、ぐったりしている、震えている
  • 吐く(口をぺちゃぺちゃする、よだれが出る)、下痢をしている
  • 呼吸がおかしい、咳やくしゃみ、涙目がある、けいれんしている
  • 水も飲まない
  • 1日以上、1か所に隠れて出てこない
  • おしっこに血が混じる、体に触られるのを嫌がる
  • 熱がある(環境省によると[2]、猫の正常な体温は38.0〜39.0℃)
  • 子猫で、半日以上食べない

迷ったときは、かかりつけの動物病院に電話で相談してください。

この記事の読み方(順番に説明します)

  1. 何日まで様子見していいか(目安の表)
  2. 食べない原因を切り分ける(病気/食事/環境)
  3. 「ごはんは食べないが、おやつは食べる」「水は飲む」のとき
  4. 食いつきを良くする工夫(順番に試す)
  5. やってはいけないこと
  6. よくある質問

猫がキャットフードを食べないとき、何日まで様子見していい?

様子見の目安を表で確認

猫の状態様子見の目安理由
子猫(生後5〜6か月まで)半日まで。それ以上は受診半日〜1日以上食べないと、低血糖になる危険がある
成猫(元気・吐かない・下痢なし)1日程度まで36時間以上食べないと、脂肪肝(肝リピドーシス)の危険がある
高齢の猫・持病のある猫早めに受診体力や余力が少なく、病気が隠れていることが多い
食べてはいるが、いつもより量が少ない3日以上続くなら受診体調不良の可能性がある
水も飲まない・吐く・下痢・ぐったりすぐ受診上の赤いボックスを参照

※この表の日数や時間は、獣医師が監修したアニコムの解説[1]にもとづく一般的な目安です。公的機関(環境省など)が日数を定めているわけではありません。猫の個体差が大きいので、迷ったときは受診してください。

「1食食べない」と「1日トータルで少ない」は別

アニコムの解説では、猫の食べ方には、すぐ完食する猫、好きなときに少しずつ食べる猫、食が細い猫など、いろいろなタイプがあるとしています。健康で適正体重が保てているなら、ほとんどの場合は問題ありません。そのため、ふだんの食べ方を把握しておくことが大切です。見るポイントは、次の4つです。

  • 1日トータルで食べた量
  • 食いつきのよさ
  • 食べるスピード
  • 食べているときの様子

1〜2食食べなくても、1日トータルで食べられていれば、問題ないことがほとんどです。反対に、いつもと比べて、極端に量が少ない、食いつきが悪い、スピードが遅い、様子が違う状態が続くときは、体調不良などの原因がある可能性が高くなります。

なぜ「様子を見すぎてはいけない」のか

猫は、具合が悪くても、我慢してしまうことがあります。環境省のガイドライン[2]も、日ごろの行動をよく観察しておくこと、早めに獣医師に診てもらうことで、病状の悪化を防げることを挙げています。食べないこと自体が体調を悪化させる要因になることもあります。

特に、太り気味の猫が食べなくなると、脂肪肝になりやすいとされています。「ただの好き嫌い」「ストレスのせい」と決めつけているうちに、病気が進むこともあります。

猫がキャットフードを食べない原因は?病気・食事・環境に分けて考える

原因の一覧表

分類原因の例こんな様子
病気(食欲自体が落ちる)消化器・腎臓・肝臓・循環器・呼吸器・神経の病気、代謝の病気、腫瘍、中毒など食欲不振以外に目立つ症状がないまま進む病気もある
病気(食欲はあるのに食べられない)歯肉炎・口内炎などの口の痛み、首や腰・関節の痛み、うまく飲み込めない病気ごはんを眺める・においを嗅ぐが食べない。食べ方や姿勢がおかしい。ぽろぽろ落とす
フードの問題急なフードの変更、同じ味への飽き、冷たいフード、開封後に時間がたって風味が落ちた新しいフードを警戒する。寒い時期に温めないと食べない
食器・食事場所食器の大きさ・深さ・材質・においや高さ、うるさい場所、人の出入りが多い場所好みの食器でないと食べない。同居猫や犬の存在が気になる
環境の変化引っ越し、留守番、ペットホテル、家族構成や同居猫の変化、気候や騒音環境が変わったあとから食べない
年齢子猫は胃が小さい。高齢猫は消費カロリーや消化機能、においを感じる力が落ちる子猫は一度にたくさん食べられない。高齢猫は少しずつ量が減る

※表は、獣医師が監修したアニコムの解説[1]をもとに整理しました。

病気が心配なとき:気づきたい猫のサイン

環境省のガイドライン[2]は、猫で注意する点として、次のようなものを挙げています。食欲がない(3日以上食欲がないと、健康に影響が出る危険があります)、休みなく鳴いている、1日以上1か所に隠れて出てこない、元気がなくぐったりしている、嘔吐をくりかえす、熱がある(猫の正常体温は38.0〜39.0℃)、水を飲む量が異常に多い(少ない)、便や尿のにおい・色・回数・量の変化、毛玉を頻繁に吐く、高いところに登りたがらなくなったなどです。

食欲不振に、これらのサインが重なるときは、フードの好みではなく体調の問題の可能性が高くなります。受診してください。

高齢の猫:「歳だから」とあきらめない

アニコムの解説では、高齢になると、寝ている時間が増えて消費カロリーが減るだけでなく、消化機能が衰えて食べる量が減る猫もいること、においを感じる力が衰えて食欲が落ちる猫もいること、口内炎・関節炎・慢性腎臓病などの病気にかかる猫も多いことを説明しています。1か月に体重が5%以上減るときは、何らかの病気による食欲低下も疑われるとされています。「歳だから」と様子を見ているうちに病気が進行することも多いので、高齢猫の食欲不振や体重減少は、早めに受診しましょう。

なお、高齢猫で、食欲旺盛でよく食べるのに太らないときは、甲状腺機能亢進症という病気のこともあるので、注意が必要です(アニコムの解説)。

「おやつは食べる」「水は飲む」ときは?よくある3つのパターン

① ごはんは食べないが、おやつは食べる

おやつのほうが魅力的で、好き嫌いしている可能性があります。ただし、アニコムの解説[1]は、体調不良で食欲が落ちると、そのような好き嫌いが出やすくなるので、単なる好き嫌いと決めつけず、続く場合は受診するようすすめています。おやつでお腹がいっぱいになっている可能性もあるので、フードのあとにおやつをあげる、量を調整する、といった工夫をします。主食以外のおやつやトッピングは、1日の摂取カロリーの10%程度までに抑えるのが目安とされています。

② ごはんは食べないが、水は飲む

食欲がなくても、具合が悪くても、のどは乾くので水は飲む、という猫は多いとされています。特に、猫に多い慢性腎臓病では、水をたくさん飲んでたくさんおしっこをする症状が見られます。「水を飲んでいるから大丈夫」と安心せず、食欲不振が続くなら受診してください。

③ 食べてはいるが、いつもより量が減っている

一時的に量が減ることはあります。ただし、そのような状態が3日以上続くときは、体調不良が原因の可能性もあるので受診がすすめられています。子猫や高齢猫は体力や余力が少ないので、早めの対応が必要です。

猫の食いつきを良くする工夫|病気ではなさそうなときに順番に試す

試す順番の表

順やることねらい
1フードの鮮度を確認。開封後は小分けして、密閉して保管時間がたつと風味が落ちる・酸化する
2フードを人肌程度に温める。ドライはふやかしてみるにおいが立ち、食べやすくなる。寒い時期は特に
3缶詰・ふりかけ・ペースト状のおやつを、少量トッピングフードの種類を変えずに、興味を引く
4少量ずつ回数を分けて出し、食べないときは10分ほどで片付ける出されたらすぐ食べる習慣。食いつきで体調も判断しやすい
5食器の材質・深さ・高さを変える好みの食器でないと食べない猫がいる
6静かで落ち着いた場所に、食事場所を移すうるさい場所や人の出入りが多い場所を嫌がる猫がいる
7それでもダメなら、動物病院へ病気や痛みがないか確認する

※手順1〜6は、アニコムの解説[1]で紹介されている工夫です。置きっぱなしにすると、いつでも食べられるのですぐに食べない猫が多く、食いつきや食べる様子で体調を判断しにくくなる、とされています。

フードを変えるときは「少しずつ」

アニコムの解説では、フードを急に変更すると警戒心から食べなくなる猫が多い一方、同じ味が続くと飽きて食べなくなる猫も多い、としています。フードを切り替えるときは、これまでのフードに新しいフードを混ぜて、1〜2週間くらいかけて少しずつ増やします(ヒルズの解説[3])。猫が急に食べなくなったときは、飼い主の判断だけでフードを変えたり、おやつで補ったりせず、まず獣医師に診てもらうことをすすめる獣医系大学の見解が、ヒルズの解説で紹介されています。

フードを選び直すときは、袋の「目的(総合栄養食か)」と「成長段階」の表示を確認してください。見方は、キャットフードの原材料・成分の見方にまとめています。子猫のフードの選び方は、子猫のキャットフードの選び方を参考にしてください。

猫がごはんを食べないときに、やってはいけないこと

  • 人の食べ物や、味の濃いものを与える。味の濃いものに慣れて、猫用フードを食べなくなることがあります。病気によっては、食事制限が必要で、人の食べ物が病気を悪化させることもあります(アニコムの解説[1])。
  • 無理やり口に入れて食べさせる。食べること自体が嫌になって、余計に食べなくなることがあります。痛みや吐き気があるときの無理な給餌は、病気を悪化させる可能性もあります。強制給餌は、動物病院が猫の状態を見極めて行うものです。
  • おやつだけで済ませる。栄養が足りなくなります。
  • フードを次々に変える。何が合うのか分からなくなり、警戒心が強くなる猫もいます。
  • 2日以上食べないのに、様子を見続ける。

猫がキャットフードを食べない:よくある質問

Q. 猫は何日食べなくても大丈夫?

猫の年齢や健康状態で異なります。一般的に、子猫(生後5〜6か月まで)は半日、成猫は1日程度までが、様子を見てよい目安とされています。「大丈夫」は、元気があって、他に気になる症状がない場合の話です。太り気味の猫、高齢の猫、持病のある猫は、もっと早く相談してください。

Q. 急にドライフードを食べなくなった

口の痛み(歯肉炎・口内炎)、フードの鮮度、飽き、冷たさ、食器や場所など、さまざまな原因があります。食べ方がおかしい、ぽろぽろ落とす、よだれが出る、口を気にするときは、口の病気のおそれがあるので、受診してください。

Q. ウェットフードなら食べる。ドライをやめてもいい?

袋の目的が「総合栄養食」で、成長段階が合っていれば、ウェットだけでも主食にできます。ヒルズの解説[3]では、ウェットフードは一般的に猫が好む傾向があり、水分をとれる利点があります。ただし、「一般食」「副食」「間食」などと書かれたウェットは、それだけでは栄養が足りません。袋の目的の見方はこちら。

Q. 食べないのは、わがまま?

わがままと決めつけないでください。病気や口の痛み、食器・場所・環境の変化が原因のこともあります。まず、体調に問題がないかを確認しましょう。

Q. 犬のごはんの記事と同じ?

猫は犬と必要な栄養素が違い、食べない状態が続くことの危険も、猫に特有のもの(脂肪肝など)があります。犬の場合は、犬がドッグフードを食べない原因の記事をご覧ください。

まとめ|まず「受診の目安」を確認して、そのあとに食事と環境を見直す

  • ぐったり・吐く・下痢・水も飲まない・隠れて出てこないときは、すぐ動物病院へ
  • 成猫は、元気があれば1日程度まで様子見。子猫は半日まで。太り気味・高齢・持病のある猫は早めに受診
  • 食べない状態が続くと、猫は脂肪肝になるおそれがある。「水を飲むから大丈夫」と安心しない
  • おやつは食べる、は好き嫌いと決めつけない。おやつ・トッピングは、1日のカロリーの10%程度まで
  • 食いつきの工夫は、鮮度・温める・トッピング・食事時間・食器・場所の順に試す。無理に食べさせない

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この記事の参考情報

本文中の [1] [2] などの数字は、この一覧へのリンクです。一覧の各項目から、元の資料へ移動できます。

  1. アニコム損害保険「猫がごはんを食べない!原因と対策を徹底解説(獣医師監修)」(様子見の目安・脂肪肝/低血糖・原因・対策・おやつの量・やってはいけないこと)anicom-sompo.co.jp(保険会社の解説です。日数・時間は、公的機関が定めたものではありません)
  2. 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」(2018年版)第4章「体調管理について」(日頃の体調管理、猫で注意する点・猫の正常体温)第4章(PDF)
  3. ヒルズ「キャットフードの切り替えタイミングや切り替え方法」(切り替えは1〜2週間・急に食べなくなったら獣医師へ)hills.co.jp(メーカーの解説です)
  • 病気の診断・治療は獣医師が行うものです。この記事は、診断をするものではありません

この記事を書いた人

大手ペットフードメーカーでEC(通販)の責任者を務めている運営者が、公的な資料などをもとにまとめました。社名や特定の商品をすすめる目的ではありません。健康に不安があるときは、かかりつけの動物病院に相談してください。